インタビュー!酪農家・孫叡さん

インタビュー
ITエンジニアから北海道の牧場主へ–憧れの「田舎暮らし」のリアルとは

中国・天津出身の孫叡さんは、大学卒業後、天津の貿易会社に勤務。その後2000年に来日し、IT企業でネットワークエンジニアとして活躍していました。長春、広州、成都など中国各地を飛び回り、トヨタ系列工場のネットワーク設計を担当。当時は会社で唯一の中国人エンジニアとして、第一線でプロジェクトを支えていたそうです。

しかし、40歳を前に、「このままIT業界だけで生きていくのだろうか」と考えるようになります。もともと独立志向も強く、新たな生き方を模索していた孫さん。飲食店経営などさまざまな選択肢を検討した末、たどり着いたのは、子どもの頃から親しんできた“動物”に関わる仕事――まさかまさかの「北海道で酪農」という道でした。

とはいえ、最初から牛に詳しかったわけではありません。幼い頃から動物好きではあったものの、牛に触れた経験はほぼゼロ。それでも約2年かけて農業や畜産について徹底的に調べ、日本の農業は「作ったものを農協が販売してくれる」という仕組みがあり、比較的リスクを抑えて挑戦できることに魅力を感じたといいます。


現在、孫さんが家族と営む「虹の郷牧場」は、北海道・宗谷地方にあります。約70ヘクタールの敷地で、およそ80頭の牛を飼育。毎朝早くから牛舎の掃除、餌やり、糞尿処理、搾乳作業を行う生活です。

もちろん、憧れだけでは続けられない世界でもあります。牧草の収穫時期には徹夜作業になることもあり、冬は雪との戦い。始めたばかりの頃は大型機械を揃える余裕もなく、手作業で牧草を刈っていたそうです。デスクワーク中心だったIT時代からすると、まさに真逆の生活でした。

それでも、前職の経験は意外な形で役立っています。現在の酪農では、牛の発情や病気を管理するためにIT機器やセンサーが活用されており、孫さんはそれらを自ら設定・管理。業者に頼らず対応できることは、大きな強みになっているそうです。

また、中国で昔から伝わる旧暦や農事の知恵も、北海道の牧場で活かされているといいます。空の色や雲の様子から天候を読む感覚は、牧草収穫のタイミングを見極める際にも重要なのだとか。

牧場名の「虹の郷牧場」は、奥さまの名前に含まれる「虹」から名付けられました。地方から女性が離れていく現状を見て、「田舎でも暮らしたいと思える場所を作りたい」という願いが込められているそうです。

都会のIT企業から、北海道の牧場へ。
一見すると大胆な転身ですが、孫さんの話を聞いていると、それは“全く別の人生”ではなく、「自分らしい暮らし」を探した結果なのかもしれません。

夜、仕事終わりに牛舎から家へ戻る短い道のりで見上げる星空と夕陽。そこには、都会ではなかなか出会えない景色が広がっているそうです。


酪農家・孫叡

中国・天津市出身。

天津外国語学院で日本語を学び2000年に来日。
その後はIT企業でエンジニアとして活躍するも、40歳を前に突如「牛のいる人生」へ方向転換。

名古屋のITエンジニアから、北海道・宗谷地方の牧場主へ。

現在は「虹の郷牧場」を家族で営み約80頭の

牛たちと365日フル稼働の日々を送っている。

夢は、乳牛とのふれあいと中華料理を楽しめる

“観光牧場”を作ること。
北海道のナマコは人生最高レベルと熱弁する

元ITエンジニア牧場主。


『聴く中国語』2026年6月号では、孫さんが酪農を始めて気づいたことなど様々なお話を伺っています!

詳しくチェックしてみたい方は、月刊中国語学習誌『聴く中国語』2026年6月号に掲載されているインタビューをぜひご覧ください。

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