日中美術キュレーター酒井さんの美術鑑賞のすすめ①静岡県立美術館

イベント

酒井友子(さかい ゆうこ)キュレーター、古美術商、三級経営指導士。上海市・思南路の知識人家庭に生まれ、1986年に日本へ留学。以来、数十回にわたりアート美術展を企画・開催。故宮博物院、上海美術館、岡山県立美術館、北海道立近代美術館、上海万博博物館などと共催した展覧会は、日中両国で高く評価され、数々の賞を受賞している。

静岡県立美術館

1986年に開館した静岡県立美術館は、緑に囲まれた現代風の建物だ。館内の広いロビーと階段が、訪れる人を美術の世界へといざなう。

今回紹介するのは、通常の美術館展示ではめずらしいアニメーションの世界

静岡県立美術館と日本テレビが共催する「金曜ロードショーとジブリ展」では、金曜ロードショーとスタジオジブリの歩みを濃密に味わえる。

この展覧会は2023年6月、東京・天王洲の寺田倉庫でスタート。富山県美術館、京都市京セラ美術館、秋田県立近代美術館、三重県総合博物館・三重県総合文化センター、広島県立美術館、長崎県美術館、福島県立美術館を巡回し、大きな成功を収めてきた。静岡会場は2024年10月11日に開幕し、2026年1月17日からは大分県立美術館へ巡回予定だ。

「なぜ今、静岡展を取り上げるのか」と疑問に思われる読者もいるかもしれない。その理由は記事の最後で明らかになるだろう。

金曜ロードショーとジブリの足跡

©Studio Ghibli

「金曜ロードショー」はこれまで200回以上にわたりスタジオジブリ作品を放送してきた。その歴史はジブリが人気と評価を確立していく歩みと重なる。番組が始まった1985年は、ジブリが“スタジオ開き”をした年であり、日本テレビが特別番組で『風の谷のナウシカ』を初放送した年でもある。本展では、1985年を起点に各作品の公開年や「金曜ロードショー」での初放送年を時代背景とともに振り返り、昭和・平成・令和の世相を記憶と記録から浮かび上がらせる。

本展覧会の見どころ

ジブリファンなら、「金曜ロードショー」のオープニングを飾った“フライデーおじさん”を覚えているだろう。1997~2009年に放映された宮﨑駿が構想し近藤喜文がアニメーション化した名キャラクターに、本展覧会で再会できるかもしれない。

ロビーでは、静岡会場限定の展示が来場者を出迎える。

「ジブリ映画ポスタースタジオ」コーナーでは、鑑賞者がジブリ作品のポスター内に入り込み、主人公として撮影できる。

特別協賛のau(KDDI株式会社)によるAR体験も魅力。無料アプリ「SATCH X」をダウンロードし、「借りぐらしのアリエッティ」ポスター近くのARマーカーを読み込むと、巨大な植物や虫たちに囲まれた世界をアリエッティ目線で体験でき、画像や動画はスマートフォンに保存可能だ。

本展には芸術性の高い作品も数々ある。稀代の造形作家として世界中に多くのファンを持つ竹谷隆之氏らが作成した造形物をもとに、映画に登場する「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」の展示や、富山ガラス工房の地元作家らが制作した巨大な「ジブリの幻燈楼」も必見。光と音が織りなす幻想的な世界が広がる。

本展では「金曜ロードショー」の歩みと同時代の記録をたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力に迫っていく。さらに、驚きと発見に満ちた迫力のある展示空間により、作品の世界を体感することができると、担当の学芸員は語ってくれた。

ロダン館も見どころの一つ

静岡県立美術館にぜひ足を運んでほしい理由は、日本で唯一のロダン館があるからだ。ラグビーボール型のガラス天井から自然光が降り注ぎ、まるで彫刻公園を散歩しているかのよう。見晴らし台のようなエントランスからは、ウイング全体を一望できる。階段状のスキップフロアには『地獄の門』をはじめ32点のロダン作品を展示。隣接するブリッジ・ギャラリーと合わせ、全51点の彫刻 が一堂に会する。無料音声ガイドも用意されている。(上海に旅行に行かれる方には、ロダン芸術文化センター“羅丹藝術文化發展中心”もオススメ!)

企画展とロダン館の双方を堪能すれば、芸術が時代も年齢も国境も越えて楽しめることを実感するだろう。静岡県立美術館で、ジブリの世界と彫刻芸術の響きをぜひ体感してほしい。


静岡県立美術館
〒422-8002 静岡市駿河区谷田53-2
「金曜ロードショーとジブリ展」

開催期間2025年10月11日(土)~2026年1月4日(日)

開館時間10:00~17:30(展示室の入室は16:30まで)
夜間開館2025年10月11日(土)~2026年1月4日(日)の毎週土曜日、10月12日(日)、11月2日(日)、23日(日)、1月2日(金)~4日(日)

10:00~20:00(展示室の入室は19:00まで)

休館日 毎週月曜日(祝日、振替休日と12月29日は除く)、12月30日(火)~1月1日(木)

観覧料:(会場でのチケット販売は一切行いませんのでご注意ください)

一般・大学生1,900円/中・高校生1,500円/70歳以上1,000円/小学生以下無料

平日券 *平日にご来場いただく場合使用(12月19日(金)までの平日開館日であればいつでも入場可能です)

日時指定券 土日祝日、および12月23日(火)以降は日時指定予約制。

詳細は公式サイトよりご確認ください。
駐車場の台数に限りがありますので公共の交通機関をご利用ください。
[電車を利用する場合]
・静鉄電車「県立美術館前駅」から、徒歩約15分または静鉄バス約3分。
・JR「草薙駅」南口(県大・美術館口)から徒歩約25分又は静鉄バス約6分。
[バスを利用する場合] いずれも「県立美術館」バス停下車
・JR「草薙駅」南口(県大・美術館口)から、草薙美術館線県立美術館行き約6分
・JR「静岡駅」北口11番のりばから、県立美術館線県立美術館行き約30分

・「静鉄美術館駅前」バス停より、草薙美術館線県立美術館行き約3分
・JR「静岡駅」南口から南幹線経由で約20分。
・JR「草薙駅」から約5分。

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