飛び込め北京~編集部員Tの北京生活13年~㉒【番外編】北京からの旅:寝台車で行く週末西安一人旅

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北京から中国国内を旅するうちに、寝台列車が案外心地よいことに気づき、華金の夜から寝台車に乗って週末旅をしたことがあります。行き先は、子供の頃から憧れていた兵馬俑のいる古都・西安ウルムチ・トルファン・敦煌を経由するシルクロードツアーに参加して以来、シルクロードの東の起点の西安に訪れたい気持ちが疼いていました。

このとき、旅行前に予約していたのは往路の寝台列車のみ。この頃には少し旅慣れた雰囲気を出したくなり(笑)、無謀にも現地で宿探しと復路のチケットを購入することにしました。

今回は、そんな週末西安一人旅のエピソードを振り返ります。

1日目(金曜日):北京西駅から夜の寝台車に乗って…

当時、筆者の仕事は現地在住日本人向けフリーマガジンの編集長。月刊誌だったので、特に〆切前は夜遅くまで残業する日々でした。そんな中、どうしても旅行したくなり、携程旅行网(Ctrip)を通じて、金曜夜発の北京→西安行き寝台列車チケットを購入。

当日、18時の定時に会社を出発し、地下鉄で北京西駅に到着小卖部(売店)で方便面(カップラーメン)飲料(ドリンク)を買い込み、指定の寝台列車に乗り込みました。予約したのは、値段よりも明日の体力温存のため比較的高い値段の寝台ベッド席「软卧」にしました(片道442元)

寝台列車で西安へ…ロマンしかないですね。これが私が乗った寝台車です
小綺麗なソファ兼ベッドの寝台席「软卧」は四人組の相部屋。ハンガーや荷物置き場などがコンパクトにまとまっている

夜8時過ぎ、列車が出発。座席は二段ベッドの下段でした。寝台車内ではお湯をもらって持ち込んだものを食べたり、本を読んだりして就寝。比較的暗く列車の揺れも相まってぐっすり安眠できました。

ベッドから見える景色。20時の時点でこの暗さなので、すぐ眠気がやってきました

2日目(土曜日):西安到着~宿探し&復路チケット購入~羊肉泡馍~兵馬俑~夜の大雁塔

翌朝6時半、同部屋の人の迷惑にならないようにこっそり車窓のカーテンを開けると、そこには黄土高原が広がっていました

8時過ぎに西安駅到着。

はるばるやって来た西安。欧米人の観光客もちらほらいました

まずは、駅前のチケットショップに飛び込み、復路の列車チケットを探してもらったところ、すでに満席。月曜には出社しないといけないので、飛行機チケットを購入(1060元)

帰りのルートを確保したところで、駅前からバスで中心地の鐘楼へ向かい、宿探しです。鐘楼青年旅舍(ユースホステル)に飛び込んだところ、空室があったので即決。一泊60元、二段ベッドの8人用女性部屋でした。

鐘楼は、明代(14世紀)建立。西安の市街地中心に位置し、かつては時を知らせる役割を担っていたという。高さ36mの木造建築で、内部には巨大な鐘があり、展望デッキからは旧市街の全景を一望できる。
鐘楼のすぐ近くにあるユースホステルだったので、アクセス抜群で便利でした

荷物を置いたら、朝ご飯を探しに回民街へ繰り出します。唐代からシルクロードの交易拠点として栄えた西安には多くのイスラム文化が根付いていて、回民街はその歴史を今に伝える食文化の中心地とのこと。羊肉串、ビャンビャン麺、甘いスナックなど、多彩なグルメを楽しめるストリートです。

朝から賑わっていました。欧米人も多いです
回族街というだけあってイスラム料理の店がひしめいています。遠くへやって来た感じがしてきます

ここでは、事前にリサーチしていた名物・羊肉泡馍の名店に向かいます。

羊肉泡馍の店は沢山ありますが、今回は右の店に入りました。人気店で人がいっぱい!
あらかじめちぎられたパンが入ったお椀を選び、奥の厨房まで持っていきスープを注いでもらうスタイル

羊肉入りのスープに麺とパンを浸して食べる回族伝統料理で、パンが膨らむ前に早めに食べるのがコツです。

あまり美味しく見えないけれどw羊肉のスープが温かくて美味しかったです。内陸に来た感じを味わいたければぜひご賞味あれ!

本場の料理で腹ごしらえをした後は、この度のメインテーマである兵馬俑を見に秦始皇兵馬俑博物館へ向かいます。西安駅からローカルバスに乗って1時間、片道14元の旅です。

兵馬俑博物館へのバスは随時運行しているので、来たバスに乗れば大丈夫!

秦始皇兵馬俑博物館の受付につくと、入場料150元を支払います。受付から博物館まではまた距離があるので(とにかく広い!)、追加20元で電動カートに乗って博物館へ向かいます。

入場料150元!なかなかのお値段ですが、見る価値はある!
兵馬俑博物館の外観。各地から中国人がたくさん見に来ています

まずは発掘当時の様子の写真や、ショーケースの中に陳列された兵馬俑を間近で鑑賞します。

実際の人間より大きめ!
制作当時の様子を再現。下手な作品を提出すると処刑されていたそうで、必死に作っていたようです

展示室を奥に進んでいくと、巨大な体育館のような展示室にたどり着き、兵馬俑の群像が現れました!

大迫力です!想像より広い!そして大量!秦の始皇帝(紀元前259~210年)が自らの死後の護衛として造らせた兵馬俑。1974年に発掘され、1万体以上の兵士・馬・戦車が土中から出現。当時の軍事制度や造形技術の精巧さに驚かされます…
皆さん何かを持っていたようです。頭が取れてしまったりもしています
一体一体の表情も違うので面白いです

一体一体に個性があり見ていて飽きません。奥の方は崩れているものもあり、栄枯盛衰を感じさせます。

時は残酷ですね…

現在修復中のものも多数ありました。従来の発掘技術では制作当時の彩色が空気に触れて消えてしまう、とのことで意図的に発掘を中断しているとのことでした。

ちゃんと管理されている事がわかって、少し安心しました

兵馬俑を一通り見た後は、秦始皇帝陵博物院へ。

秦始皇帝の陵墓は世界最大級の地下墓で、兵馬俑の配置や墓室構造から古代中国の権力と技術力を垣間見ることができます。陵墓全体は未発掘部分も多く、神秘性を保ったまま観光客を惹きつけます
当時のチケット

始皇帝陵は整備された小山のようになっていて、電動カートに乗って移動します

いちいち移動に時間がかかるw
始皇帝陵の内部も部分的に入ることができます
お墓なのですごく整備された地になっています。ドライブが気持ち良い!

帰りにはお土産屋さんでミニ兵馬俑を見て、バスで西安駅へ戻りました。

ホンモノを見ると、すごくチャチく見える…w(ごめんなさい)

夕食は中国北西部のローカルファストフード店「百富烤霸」でチキンバーガーを頂きました。「揚げない、私はローストチキン!」のキャッチコピー通り、揚げずに焼いたチキンが思いのほか美味しかったです。ローカル店の通例ですが店員さんはのんびり(というよりチンタラ?)、店内もがらんとしていましたが、味は◎なのでぜひ味わってみてほしいです。

1996年新疆ウイグル自治区のウルムチで誕生した中国ローカルファストフード店「百富烤霸」。孫悟空のロゴが目印
人気のない店内
食べ進んだところで写真撮り忘れてパチリ。揚げないローストチキンバーガー、美味しかったです!

夕飯を食べ終わった後は、西安を代表する仏教建築の塔・大雁塔で行われる夜の噴水ショーを見に行きました。唐の高僧玄奘がインドから持ち帰った仏教経典を収めるため、652年に建立されたという大雁塔は、高さ64mの七層塔で仏教文化と唐代建築の象徴とされています。

ローカルタイムなのか、開始予定時刻から少し待たされたものの(笑)、いざ始まると大音量の音楽に合わせてリズミカルに動く噴水が夜の空を美しく彩ってくれました。海のない西安で潤いを感じるひとときです。

始まった途端、(有料で)写真撮るよと声を掛ける人が現れ、営業していきますw
イルミネーションも相まって美しかった!

3日目(日曜日):回民街~城壁サイクリング~餃子宴~西安咸陽国際空港から北京首都国際空港へ

最終日は、朝から回民街に向かい、羊肉入りの小籠包山楂乌梅汤(酸梅湯)をいただきました。

中国的ファストフードで朝から元気を出したら、朝の大雁塔へ向かいます。

この日は少し空気汚染がありました。前方に大雁塔が霞んで見える…
中央分離帯のシルクロードモチーフが旅情を掻き立ててくれます
大雁塔につくと、朝から下の広場で踊る人たちが…。市民の憩いの場なんですね

大雁塔は内部に入って登ることが可能です。エレベーターはなく階段ですが私も頑張って登ってみました。中では所々で釈迦如来の足跡を飾っていたり、西遊記のドラマ放送などをしています。

上まで登ると、(この日は霞んでいたものの…)ここは三蔵法師がはるか天竺から戻ってきて経典を収蔵した場所なんだな…と空想し、歴史ロマンに思いを馳せました。

霞む景色もシルクロードっぽいといえばぽい…

お次は城壁に向かいます。城壁の上を自転車でサイクリングするためです。

西安城壁は明代(14世紀)に都を守る防御施設として整備された、現存する中国最大かつ最完全な城壁です

全長約13.7km。門を一つ一つ周るのも面白いかも
日常風景に城壁が溶け込んでいて、なんだか羨ましい!

城壁に登ると、レンタサイクルスポットがありました。早速乗ります。

城壁でのサイクリング料金は、現在45元/3時間だそう。+デポジット100元を払います
城壁の上は広く、全周13.7キロもあります。1時間半~2時間はかかると思っておいたほうがいいですよ

城壁の上でサイクリングなんて、最高だな~!とペダルを漕いでいたら、なんと途中でタイヤのチェーンが外れるという予想外のアクシデントに遭遇!帰りの飛行機チケットも取っているし、この後の予定もあるので焦りましたが、連絡先の電話番号を控えていたのが功を奏し、電話をかけて引取にきてもらい事なきを得ました(汗)。石畳は思いのほかアップダウンが激しいので、こういうこともあるようです^^;。時間に余裕を持って動くことをオススメします…。

周りに人もおらず、本当に帰れなくなるんじゃないか…と途方に暮れました(笑)

なんとかレンタサイクルを返した後は、大急ぎで鐘楼付近に戻り、気を取り直して付近の街歩きに繰り出しました。

大雁塔のあたりであげるであろうタコがたくさん売っていました。カラフル!
回族の帽子屋さんでしょうか。あまり商売っ気はない模様。イスラム文字のプレートも気になる…

そして西安の最後の晩餐へ。西安名物・餃子宴の名店「徳発長」に向かいました。餃子宴は西安の伝統的な家庭料理である餃子を宴会スタイルで提供する料理文化のことです。唐代の宮廷料理から発展し、数十種類の餃子を舌だけでなく目でも楽しみます。徳発長には、なんと200種類以上の餃子の花型・味があるとされており、西安を代表する観光グルメの地だそうです。

鐘楼の近くにある老舗店「徳発長」。1936年創業で、キャッチコピーは「百餃百馅百味(一つの餃子一形、一百の餃子で百の具材・百の味)」
店内に入ると、デーン!と大きな金の餃子が^^;
餃子の種類の説明を受けているところ

一人用のセットメニューはなかったものの、頼み込んで(強引ですが中国で身につけた技w)10名用の1人128元の餃子宴コースを1名分だけ注文。一通りの餃子を味わった後、荷物を引き取って空港バスに滑り込み、なんとか西安咸陽国際空港から帰路につくことができました。

まとめ

中国に住んでいると、このように気軽に寝台列車で歴史ある古都・西安を訪れることもできます。現地での宿決めやチケット手配なども案外うまくいくことが分かったのも良かったですし、城壁での思わぬハプニングも旅のスパイスとなり忘れがたい思い出になりました。

西安は、ただ歩くだけで歴史の重みを肌で感じられる街でした。他の都市では味わえない、昔の人々が築き上げた街を現代の我々が受け継いでいる――そんな印象を強く受けました。これは、実際に足を運んでみて初めて分かる感覚でした。本当に行って良かったと思います。

皆さんも、ふと思い立ったら寝台列車に飛び込んで、歴史の息吹を感じる旅に出てみてはいかがでしょうか?

関連特集号:KIKUCHU 月刊『聴く中国語』 2023年4月号 | 西安を巡る旅に出よう! – 友好書店・月刊『聴く中国語』公式販売サイト

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