中国に興味があって行ってみたいけれど、なんとなく「怖いかな?」とか「やっぱり中国語できないとダメ?」と思い悩んでいるあなたの背中をえいっと押すきっかけになれば…。「中国語はそんなに得意ではないが興味だけはあった」アラサー日本人女性が、中国に出会い、七転八起して過ごした北京での思い出を綴ります。
■「飛び込め北京」シリーズを読む
北京から中国国内を旅するうちに、寝台列車が案外心地よいことに気づき、華金の夜から寝台車に乗って週末旅をしたことがあります。行き先は、子供の頃から憧れていた兵馬俑のいる古都・西安。ウルムチ・トルファン・敦煌を経由するシルクロードツアーに参加して以来、シルクロードの東の起点の西安に訪れたい気持ちが疼いていました。
このとき、旅行前に予約していたのは往路の寝台列車のみ。この頃には少し旅慣れた雰囲気を出したくなり(笑)、無謀にも現地で宿探しと復路のチケットを購入することにしました。
今回は、そんな週末西安一人旅のエピソードを振り返ります。
1日目(金曜日):北京西駅から夜の寝台車に乗って…
当時、筆者の仕事は現地在住日本人向けフリーマガジンの編集長。月刊誌だったので、特に〆切前は夜遅くまで残業する日々でした。そんな中、どうしても旅行したくなり、携程旅行网(Ctrip)を通じて、金曜夜発の北京→西安行き寝台列車チケットを購入。
当日、18時の定時に会社を出発し、地下鉄で北京西駅に到着。小卖部(売店)で方便面(カップラーメン)と飲料(ドリンク)を買い込み、指定の寝台列車に乗り込みました。予約したのは、値段よりも明日の体力温存のため比較的高い値段の寝台ベッド席「软卧」にしました(片道442元)。
夜8時過ぎ、列車が出発。座席は二段ベッドの下段でした。寝台車内ではお湯をもらって持ち込んだものを食べたり、本を読んだりして就寝。比較的暗く列車の揺れも相まってぐっすり安眠できました。
2日目(土曜日):西安到着~宿探し&復路チケット購入~羊肉泡馍~兵馬俑~夜の大雁塔
8時過ぎに西安駅到着。
まずは、駅前のチケットショップに飛び込み、復路の列車チケットを探してもらったところ、すでに満席。月曜には出社しないといけないので、飛行機チケットを購入(1060元)。
帰りのルートを確保したところで、駅前からバスで中心地の鐘楼へ向かい、宿探しです。鐘楼青年旅舍(ユースホステル)に飛び込んだところ、空室があったので即決。一泊60元、二段ベッドの8人用女性部屋でした。
荷物を置いたら、朝ご飯を探しに回民街へ繰り出します。唐代からシルクロードの交易拠点として栄えた西安には多くのイスラム文化が根付いていて、回民街はその歴史を今に伝える食文化の中心地とのこと。羊肉串、ビャンビャン麺、甘いスナックなど、多彩なグルメを楽しめるストリートです。
ここでは、事前にリサーチしていた名物・羊肉泡馍の名店に向かいます。
羊肉入りのスープに麺とパンを浸して食べる回族伝統料理で、パンが膨らむ前に早めに食べるのがコツです。
本場の料理で腹ごしらえをした後は、この度のメインテーマである兵馬俑を見に秦始皇兵馬俑博物館へ向かいます。西安駅からローカルバスに乗って1時間、片道14元の旅です。
秦始皇兵馬俑博物館の受付につくと、入場料150元を支払います。受付から博物館まではまた距離があるので(とにかく広い!)、追加20元で電動カートに乗って博物館へ向かいます。
まずは発掘当時の様子の写真や、ショーケースの中に陳列された兵馬俑を間近で鑑賞します。
展示室を奥に進んでいくと、巨大な体育館のような展示室にたどり着き、兵馬俑の群像が現れました!
一体一体に個性があり見ていて飽きません。奥の方は崩れているものもあり、栄枯盛衰を感じさせます。
現在修復中のものも多数ありました。従来の発掘技術では制作当時の彩色が空気に触れて消えてしまう、とのことで意図的に発掘を中断しているとのことでした。
兵馬俑を一通り見た後は、秦始皇帝陵博物院へ。
始皇帝陵は整備された小山のようになっていて、電動カートに乗って移動します
帰りにはお土産屋さんでミニ兵馬俑を見て、バスで西安駅へ戻りました。
夕食は中国北西部のローカルファストフード店「百富烤霸」でチキンバーガーを頂きました。「揚げない、私はローストチキン!」のキャッチコピー通り、揚げずに焼いたチキンが思いのほか美味しかったです。ローカル店の通例ですが店員さんはのんびり(というよりチンタラ?)、店内もがらんとしていましたが、味は◎なのでぜひ味わってみてほしいです。
夕飯を食べ終わった後は、西安を代表する仏教建築の塔・大雁塔で行われる夜の噴水ショーを見に行きました。唐の高僧玄奘がインドから持ち帰った仏教経典を収めるため、652年に建立されたという大雁塔は、高さ64mの七層塔で仏教文化と唐代建築の象徴とされています。
ローカルタイムなのか、開始予定時刻から少し待たされたものの(笑)、いざ始まると大音量の音楽に合わせてリズミカルに動く噴水が夜の空を美しく彩ってくれました。海のない西安で潤いを感じるひとときです。
3日目(日曜日):回民街~城壁サイクリング~餃子宴~西安咸陽国際空港から北京首都国際空港へ
最終日は、朝から回民街に向かい、羊肉入りの小籠包と山楂乌梅汤(酸梅湯)をいただきました。
中国的ファストフードで朝から元気を出したら、朝の大雁塔へ向かいます。
大雁塔は内部に入って登ることが可能です。エレベーターはなく階段ですが私も頑張って登ってみました。中では所々で釈迦如来の足跡を飾っていたり、西遊記のドラマ放送などをしています。
上まで登ると、(この日は霞んでいたものの…)ここは三蔵法師がはるか天竺から戻ってきて経典を収蔵した場所なんだな…と空想し、歴史ロマンに思いを馳せました。
お次は城壁に向かいます。城壁の上を自転車でサイクリングするためです。
西安城壁は明代(14世紀)に都を守る防御施設として整備された、現存する中国最大かつ最完全な城壁です
城壁に登ると、レンタサイクルスポットがありました。早速乗ります。
城壁の上でサイクリングなんて、最高だな~!とペダルを漕いでいたら、なんと途中でタイヤのチェーンが外れるという予想外のアクシデントに遭遇!帰りの飛行機チケットも取っているし、この後の予定もあるので焦りましたが、連絡先の電話番号を控えていたのが功を奏し、電話をかけて引取にきてもらい事なきを得ました(汗)。石畳は思いのほかアップダウンが激しいので、こういうこともあるようです^^;。時間に余裕を持って動くことをオススメします…。
なんとかレンタサイクルを返した後は、大急ぎで鐘楼付近に戻り、気を取り直して付近の街歩きに繰り出しました。
そして西安の最後の晩餐へ。西安名物・餃子宴の名店「徳発長」に向かいました。餃子宴は西安の伝統的な家庭料理である餃子を宴会スタイルで提供する料理文化のことです。唐代の宮廷料理から発展し、数十種類の餃子を舌だけでなく目でも楽しみます。徳発長には、なんと200種類以上の餃子の花型・味があるとされており、西安を代表する観光グルメの地だそうです。
一人用のセットメニューはなかったものの、頼み込んで(強引ですが中国で身につけた技w)10名用の1人128元の餃子宴コースを1名分だけ注文。一通りの餃子を味わった後、荷物を引き取って空港バスに滑り込み、なんとか西安咸陽国際空港から帰路につくことができました。
まとめ
中国に住んでいると、このように気軽に寝台列車で歴史ある古都・西安を訪れることもできます。現地での宿決めやチケット手配なども案外うまくいくことが分かったのも良かったですし、城壁での思わぬハプニングも旅のスパイスとなり忘れがたい思い出になりました。
西安は、ただ歩くだけで歴史の重みを肌で感じられる街でした。他の都市では味わえない、昔の人々が築き上げた街を現代の我々が受け継いでいる――そんな印象を強く受けました。これは、実際に足を運んでみて初めて分かる感覚でした。本当に行って良かったと思います。
皆さんも、ふと思い立ったら寝台列車に飛び込んで、歴史の息吹を感じる旅に出てみてはいかがでしょうか?
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