飛び込め北京~編集部員Tの北京生活13年~㉑未病改善!?カッサ、棒灸、薬膳、太極拳まで!北京中医体験記

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飛び込め北京 – 愛言社ブログ

小学生の頃から自律神経失調症に悩まされ、社会人になってからもなんとなく体調不良を繰り返していた筆者は、若い頃からヘルスケアへの関心が高い方でした。
そんな私が中国に行ったら、それはもう――当然のように「中国医学」にハマりました(笑)。

中国医学では、明確な病名はつかないけれど、なんとなく体調がすぐれない状態・未病のことを亚健康と言います。これを解消すべく、北京ではさまざまな中医体験をしました。マッサージなどのメジャーなものから、ちょっと変わったものまで。本場の中医をいろいろ試した体験をここでシェアします。

※以下はあくまで個人的な体験談ですので、その点ご承知おきください。

店や病院で中医体験

カッピングとカッサ:刮痧・拔罐

北京に移住して間もなく、仕事帰りにK先輩に連れられて行ったマッサージ店に、足裏や全身マッサージ以外にいろいろな施術があることを知りました。風邪気味だった先輩はカッサ(刮痧 guā shā)カッピング(拔罐 bá guàn)をオーダー。その日の私は体調は悪くなかったけれど、ついでに体験してみることにしました。

まずはカッサから。背中に何重ものホットタオルをのせて温めた後、オイルを塗って、ヘラ状の板でゴリゴリと擦ります。これが痛い! 内心「これホントに大丈夫?血出ない?」と思いつつ耐えました(笑)。

刮痧(カッサ)の主な効果:

続いてカッピング。その店は火を使う伝統的な方法でカップを密着させます。先輩の背中で燃える炎をかざしたカップが次々と並んでいく光景に、ますます恐怖を覚えました(笑)。しかし実際に施術されると、不思議と気持ちいい!これはクセになります。
施術後、体調が悪かったはずの先輩よりも、私の背中の方が真っ赤を通り越して紫色になったのを覚えています。

拔罐(カッピング)の主な効果:

刮痧と拔罐は似ていますが、作用や目的に少し違いがあります。ぜひセットで試してみてください。

中医にかかる:看中医

中国に住んでみると、あちこちに中医病院があることに驚きます。重病や急病の際は総合病院へ行くべきですが、慢性的な不調や未病のときに試したいのが中医病院。日本人向けクリニックでも中医を併設しているところがあり、日本よりずっと気軽に漢方を試せます

私は寝違えで首・肩の激痛が続いたとき、中医病院で鍼治療を受けました。最初は怖かった鍼も、打ってもらうと不思議なくらい体が軽くなりました。一度は体験してみる価値ありです。

中医の診察は「四诊(sì zhěn)」という4ステップで行われます。

棒灸:艾条

ある日、職場のビル上階にお灸専門店(艾灸ài jiǔ)があると聞き、退勤後に突撃。アジアンテイストの空間にお灸の香りが漂い、入った瞬間に「ここは癒される」と確信しました(笑)。

施術は、ツボを触りながらその人の弱い部分を探り、棒状の艾条を上からかざし温める温熱療法でした。料金はマッサージ店と同程度で、しばらく通いました。
「胃が冷えていて、このままでは妊娠しにくい」と言われていたものの、心地よいので退勤後のリラックス目的で通い続けていたら、なんと妊娠。お灸の効果を実感した体験でした。

艾灸の効果:

ダイエット鍼:减肥针灸

近所にダイエット鍼(减肥针灸)をやっている店があると聞き、行ってみたことも。マンションの一室で中年の先生が一人で施術しており、脈診などのあとお腹に鍼と温熱器を使用。
結果は――正直あまり効果を感じず、1回で終了(笑)。「痩せるなら自力で頑張ろう」と決意を新たにしました。

自宅で中医体験

漢方ダイエットへそパッチ:减肥肚脐贴

中国のドラッグストア「屈臣氏」で見つけたのがこの“减肥肚脐贴 jiǎnféi dù qí tiē”「中国にはこんな素晴らしいものが!?」と感動し即購入(笑)。
上記の図の通りおへそにお灸入りパッチを貼るのですが、粘着力が強くて剥がす時少し痛い…。1週間試しましたが効果は? でした。でもこういう“謎グッズ”、試してみたくなるんですよね。

漢方足裏シート:足贴

足裏に貼って寝るタイプのシート。日本にも足◯ラシートなどの名前で類似品が売っていますが、本場中国ではより漢方の香りが強いです。朝剥がすとドロドロで、「デトックスされたかも?」という気分に(笑)。さまざまな薬局で売っているので、日本へのお土産などにもいいですよ。

足贴の主な効果:

足湯:泡脚

中国では湯船のないマンションが多いため、足湯バケツは生活必需品。冬の北京では足湯が本当にありがたい存在です。冷え性体質ではない私でもそこから体調不良になることを実感したので、北京に住んで以来、足元の冷えにすごく敏感になりました。帰国後の今も、足湯バケツは愛用しています。

シリコンカッピング:硅胶拔罐

美容・マッサージ用品の卸市場で見つけたシリコンカッピング(硅胶拔罐 guījiāo báguàn)。火を使わず痛い部分に圧を掛けて載せるだけで、自宅で手軽に使える便利アイテムでした。もちろん圧は弱め。引っ越し時に置いてきたのが心残りで、帰国後の今も中国から取り寄せて愛用しています。

家で棒灸:家用艾灸

棒灸の良さを知った後、中医病院で棒灸を購入して試しましたが、煙がすごく部屋が燻されます(笑)。換気は必須。ただ、暗い部屋でゆらぐ煙を眺めながらの施術は、心が落ち着く癒しの時間でした。

マッサージ師を自宅に呼ぶ:请按摩师上门

子どもが小さい頃は気軽に外出できなかったので、アプリでマッサージ師を自宅に呼んだこともあります。時間通りに清潔な身なりの施術師がやってきて、施術に必要なタオルや足湯バケツなども持参してくれ、タイマーできっちり施術してくれて意外と快適。価格もそこまで高くなく、気軽に利用できるのでおすすめです。

中医を学ぶ

太極拳を学ぶ:练太极拳

2年ほど家族で太極拳サークルに参加していたこともあります。日本人向けのサークルだったのですが、先生が意外と厳しく、同じ動作を繰り返し練習したおかげで二十四式太極拳を一通り習得できました。

太極拳の効果:

薬膳を学ぶ:学药膳

北京の中医クリニックでは、薬膳講座中医勉強会がよく開催されていました。受講した薬膳講座では、季節ごとの薬効食材を学び、実際に調理も体験。帰宅後、家族に薬膳スープを振る舞ったりしました。中国のスーパーでは薬膳食材が格安で手に入るので、色々試すことができました。

薬膳の特徴:

まとめ

北京で生活していると、鍼や灸、カッピング、太極拳、薬膳など、中医の要素がごく日常に溶け込んでいることに気づきます。筆者も「痛い」「驚き」「意外と厳しい」など、さまざまな体験を重ねるうちに、あることを実感しました。

それは、自分の身体を観察することの大切さです。普段から“頭寒足熱”を意識して足を温めたり、不調を感じる部分を自分でマッサージしたり、軽く体を動かしたりと、自分でできることを自然に実践するようになりました。そのうえで中医や専門店を訪ねてみる——そんな習慣が身についたのです。

渡航前よりも今のほうが元気だね、と昔の友人たちに言われることも多くなりました。加えて、中国人は声も大きく、早朝から活動的でとにかくエネルギッシュ。人や街の元気にも日々刺激を受けていたのだと思います。

中国にいるなら、ぜひ本場で“中医ライフ”を体験してみてくださいね!

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