飛び込め北京~編集部員Tの北京生活13年~⑱【番外編】北京からの旅:重慶一人旅

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北京での生活にも慣れ、北京五輪フィーバーが一段落した2009年春頃から、連休を利用して中国各地を旅するようになりました。

2011年の国慶節に選んだ行き先は、起伏の激しい地形で古くから「山城」と呼ばれてきた都市、重慶です。理由は主に以下の3つでした。
1つ目は、住んでいた北京とはまったく違う地形に惹かれたこと。
2つ目は、ローカルニュースで知った「人々の足」となっているロープウェイ(索道 Suǒdào)に乗ってみたかったこと。
そして3つ目は、某映画で知った中国南方カルスト(中国南方喀斯特 Zhōngguó nánfāng Kāsītè)の地を、この目で見たかったからです。

一日目:重慶到着、ロープウェイと洪崖洞へ

北京から重慶までは飛行機で2時間半重慶江北国際空港から中心部までは空港リムジンバスで移動(15元/約1時間、安い!)。長江にかかる長い橋を渡る途中、川沿いにビルが林立する街並みが目に入り、テンションが上がります。

宿は南岸区のアパート型ホテル「重慶名洋酒店式公寓」。広くて清潔、窓からの景色も良くて3泊444元と旅行シーズンにも関わらず格安でした。それもそのはず、当時、中国でも流行り始めていた民泊だったからです。広めの台所付きで長期滞在もOK、シャワーの水圧もバッチリで、ひとまず安心でした。

一人旅だけどツインベッドで広々。一人用の部屋はあまり見当たりませんでした

荷物を置いたら、中心街・解放碑エリアへ。

宿の場所をあまり考えずに決めたため、実は長い橋(重慶長江大橋※約1,174メートル)を渡らないと中心地に出られないと判明…。急きょタクシーで移動します。
お腹も空いていたので、運転手さんに「ご飯屋さんが多い場所で降ろして」とお願いすると、にぎやかな繁華街に連れて行ってくれました。行き当たりばったりでも、なんとかなるものです。

重慶といえば、あの「麻(マー)」のシビれる辛さ
手始めに、地元で人気の「酸辣粉(サンラーフェン Suān là fěn)」にトライします。ピーナッツが乗っていてちょっと甘そうに見えたのですが…これが超辛い!!
でもただ辛いだけじゃなく、旨みもあって箸が止まらず、涙を流しながら完食…できず(笑)6元。

棒を担いで持ってきたであろう屋台のおじさん。華麗なる手さばきでその場で盛り付けてくれます
周りの人たちと同じように立ち食いを楽しみました

辛さにノックアウトされた後は、地元の旅行代理店へ出向き、翌日の「武隆」日帰りツアーに申し込みました。

街中の公共エレベーターとロープウェイ体験

食事と予約を済ませたら、重慶の街歩き開始です。
まず驚いたのは、公共エレベーター(电梯Diàntī)の存在です。起伏が激しい重慶ならではの都市交通は、まるで遊園地のアトラクションさながら。
1元で乗れる「凯旋路垂直电梯 Kǎixuán lù chuízhí diàntī」は、1986年に運行開始された中国初の都市型公共エレベーターです。

街を歩いていると突如現れるエレベーター乗り場

渝中区の較場口と白象街を結び、約32.5メートル(建物8~11階相当)を昇降します。現在は歴史建築として保存されているそうです。

お金をかけたくなければ、この長~い階段を登り降りするしかないのだ

階下に降りると、スラムっぽさも混ざるディープな街並みが出現。階段の段差の激しさに驚きながら歩きます。広島出身で坂には慣れている私もびっくりの高低差の連続でした。

今歩いている道の上にも2段3段4段と道が重なり、他の都市では感じたことのない建物が迫ってくる感覚を味わいました

清潔とは言いがたいエリアもありますが、それもまた魅力のひとつ。

階段では、肩に棒を担いで荷物を運ぶ人「棒棒軍 bàng bàng jūn」の姿も。これぞ重慶らしい風景!でした。

登ったり降りたり。複雑な巨大迷路のような街並みで、ここに住んだら体力がつきそう

歩き回っていると、ついにロープウェイ「長江索道 Chángjiāng Suǒdào」の乗り場が!
ここに来た目的のひとつだけに、胸が高鳴ります。

普通のビルと見間違えて通り過ぎそうになったロープウェイ乗り場

開業は1987年。当時は地元の交通手段として活躍していたものの、今では観光スポットとしても人気のようです。
(2011年当時は片道5元。現在は片道20元、往復30元に…!)

地元の足とはいえ観光客も多く(かくいう私もそうですがw)、乗車はちょっとしたイベント感がありました。ただし、眼前の景色は薄汚いコンクリートジャングル、流れる河の水も黄土色です(笑)。

夜はライトアップの名所・洪崖洞へ

夜は、人気観光地の「洪崖洞 Hóngyádòng」へ。吊脚楼(崖に張り出して建てられる高床式建物)を模した商業施設で、上下に入り組んだ独特の建築が特徴です。

三国志の張飛の格好をした人が飴を売っていたりと、そぞろ歩くだけでも楽しいお土産ストリート

このあたりは古代から居住地や商取引の地として栄えてきたそうですが、今や完全に映えスポット。中は飲食店や土産物屋がぎっしり集まっています。施設内も階段が多く、商業施設でこんなに上下に歩かされたのは後にも先にもここくらい(汗)でした。

夕食には、重慶名物「紅油抄手 Hóng yóu chāo shǒu(辛いワンタン)」を注文。…またしても辛すぎてギブアップ(涙)。
辛さ耐性ゼロの初心者にはハードすぎたようです。それでも「せっかく来たから」と重慶にいる間は火鍋を食べるなど頑張り(?)ました。

ワンタンも容赦しません。スープの色でお察しください…

初日は早々に宿に戻り、翌日のツアーに備え重慶の地ビール「山城啤酒 Shānchéng píjiǔ」を寝酒に就寝しました。

旅の楽しみのひとつが、地ビールを探して味わうこと!

二日目:中国南方カルスト・武隆へ!

二日目は、この旅のハイライト「武隆」へ。

世界自然遺産にも登録された「中国南方カルスト」の一部で、私が大好きなチャン・イーモウ監督の映画『王妃の紋章』のロケ地でもあります。

原題は「满城尽带黄金甲 Mǎn chéng jǐn dài huáng jīn jiǎ」2006年の作品

重慶市街から約2時間半バスに揺られます。もちろん外国人は私だけ。途中で食事休憩を挟みつつ到着しました。

すると山の中に突如近未来的な観光センターが現れます。入ると、カルスト台地の崖に沿って設置されたガラス張りのエレベーターで約80mを一気に下降!高所恐怖症の人にはちょっと…いや、かなりツラい乗り物です。私も冷や汗ものでした。

今見ても結構怖い。ガクガクブルブル…

下に降りると、高さ100メートル以上の巨大アーチ状の橋が3つ連なって自然に形成された「天坑三橋 Tiānkēng sān qiáo」が目の前に。自然の力でできた世界最大級の天然アーチは、想像以上にスケールが大きかったです!

今回はどこもかしこも歩かされます。健脚の方向けの地です

憧れの地で撮影に夢中になっていると…

歴史ある建物の風格がありますが、実は焼失して割と新しく再建されたものだそう。雰囲気はありますがね

崖に沿って階段を降りていくと、谷底に唐・漢様式の宿場風建築「天福官驿 Tiānfú Guānyì」がありました。これが『王妃の紋章』のロケ地です。今も残されており、生で見られて私はもう感無量でした。

歩けないor歩きたくない人向けのサービスもあり。私も試しに乗っておけばよかった!

階段を下ってさらに奥へ。緑に覆われた大地、巨大な岩肌、一枚岩の遊歩道…。

迫力の大自然が味わえます。重慶に行ったら寄ることをオススメします

スケールの大きな大自然は全く見飽きることがありません。視界の端に同じツアーバスの人たちを確認していたつもりでしたが、上を見上げて写真ばかり撮っていたら、いつの間にかはぐれていて集合時間に遅れてしまい、ガイドさんから電話が来る事態に…ごめんなさい!その後、なんとか合流することができてよかったです(汗)。いくら時間にルーズな中国とはいえ、ツアーの集合時間には気をつけねばと肝に銘じました。

カートで集合場所まで移動させてもらいました…汗

草原でまったり過ごす

その後はまた別の専用観光バスに乗り、「仙女山国家森林公園 Xiānnǚ shān guójiā sēnlín gōngyuán」へ。「東洋のスイス」とも称される高山草原と森林の景観が楽しめる場所です。さきほどの谷底とは一変して広々とした草原が広がっていました。草原が気持ちよかったのですが、またはぐれるのが怖かったので散歩するのは控えw、売店で串ポテトを買ってかじって集合場所の休憩スペースでのんびりと過ごしました。

こんな可愛い専用観光バスに乗って武隆カルスト世界自然遺産エリアを行き来します

三日目:古き良き重慶・陶器口へ

三日目は「陶器口」へ。
重慶市内からバスで1時間ほどの、長江支流の嘉陵江沿いにある歴史保存地区です。2022年には国家級無形文化遺産観光エリアに認定されました。

嘉陵江沿いの人気スポット。重慶中心地よりこじんまりとして穏やかな時間が流れています

旅の記念の変身写真撮影

到着してみると、観光客でごったがえしていました。さすがの観光地です。古道をぶらぶら歩いていると、変身写真スタジオが激安だったので(確か50元位)、記念に撮影に臨みます(という名の暇つぶし)。
天女っぽい漢服&本格メイクで大変身。普段はしない派手目なメイクが新鮮です。

撮影を終えて着替えて待っている間に、Photoshopで綺麗に修正してくれ(中国あるある笑)すぐにラミネート加工された写真が出来上がりました。以前上海で撮影したときはすぐにはもらえず、海外発送をしてもらったのですが、ここは観光地なのでスピードが早いのかもしれません。気軽な旅の記念は、断然こっちのほうがいいです。良い気分転換になりました。

茶館で地元の人と茶飲み友達に

撮影の後、普段着に着替えたもののメイクはしっかり残されたまま(目立っていたのか、道行く人にじろじろ見られながら笑)そのまま街を散策していると、地元のおじさんに手招きされ、路地裏にある趣のある茶館へ案内されました。

最初は警戒心を和らげるためか、名刺を差し出してくれ、「普段は重慶銀行で働いている」との自己紹介をしてくれました。
「なぜ日本から来たの? 北京では何をしているの? 中国語はどうやって学んだの?」といった質問を受けながら、こちらからも「この辺りはどんな場所? 何をして過ごすのがおすすめ? 重慶でぜひ行っておくべきスポットは?」といった話題を投げかけ、ゆったりとお茶を飲みながら会話を楽しみました。
別れ際には「また重慶に来たら連絡してね」と言ってもらい、温かいひとときに心が和みました。

写真館のお姉さんたちや、茶館で出会ったおじさんとの交流を通して感じたのは、重慶の人々のおおらかさ。都会にも残る人情と穏やかなひとときにすっかり魅了されました。

まとめ

重慶に旅立つ前は、中国内陸部を旅した経験はほとんどありませんでした。
でも、香港や上海とは違った面白さにあふれた「河の街」は、一味違う中国の魅力を教えてくれました。もちろん当時住んでいた北京とも全く違う地形で、街歩きするだけでたくさんの発見に溢れた旅となりました。
近年はドラマや映画の舞台としても人気が高まり、観光地としてますます注目されているとのこと。
一度足を運んでみる価値、大アリです!

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