インタビュー!オペラ歌手・日中カラオケ大会審査員 鐘皓さん

インタビュー

中国語語学誌『聴く中国語』は毎月、日本で活躍している中国の有名人や日中友好に貢献している日本人にインタビューをしています。

今回は著名な華人オペラ俳優である鐘皓さんにインタビューすることができました。鐘さんは歌唱のお仕事のほか、中日カラオケコンクールの審査員も何度も務められております。鐘さんの音楽や舞台、歌唱のお仕事についてのご見解を伺ってみましょう!

 『聴く中国語』の読者の皆さん、こんにちは!オペラ俳優鐘皓です。私は2005年に日本に来ました。2001年に大学を卒業してから、最初はアメリカ留学を考えましたが、ビザが取れず、国内の中央歌劇院で数年働きました。その後、さらに学び、自己を高めたいと思い、日本にやってきました。2006年、私は東京芸術大学大学院の修士課程に入りました。2008年に卒業してからも、日本に留まり、今日までオペラを中心に公洟活動してきました。

 中日カラオケコンクールの審査員を務めさせていただいたことを非常に光栄に思っています。今年までに、私は大体十数回中日カラオケ大会の審査員を務めました。毎年、非常に素晴らしい音楽の祭典となっています。他のカラオケ大会と異なる点は、このカラオケ大会では「日本人が中国の歌を歌い、中国人が日本の歌を歌う」という形式で行われることです。

 もちろんコンクールでは順位が付けられ、最優秀賞、優秀賞というような賞が与えられます。そして豊富な賞品もあります。参加者は、このようなコンクールを通じてお互いの文化をより深く理解し、国境を越えることができます。民間で開催されるこのようなコンクールは、まさに中日両国の人々の友好的な交流を促進してきました。

 毎年、変化があり、特徴があります。古典的な名曲を歌うのが好きな人もいれば、たとえば「青蔵高原」などのような高難度の曲に挑戦する人もいます。最近の流行曲のような、新しい曲を歌うのが好きな人もいます。私は中国側の審査員として、毎年日本人がどのような中国の歌を歌い、どのようなスタイルで中国の歌を表現するのかをとても楽しみにしています。

 日本人はステージ上で比較的にリラックスしています。そして歌詞の内容や旋律、曲調、そして歌の全体的な雰囲気を組み合わせて、パフォーマンスを行うことがあり、とても面白いです。これはすべて参加者が自ら入念に準備したものです。

 

 私がこのコンテストに参加してから今に至るまで、常に1つの評価基準があります。私たち4人の審査員(中国人2人、日本人2人)は主に歌唱力、表現力、言語能力の3つの側面からそれぞれ10点満点で採点します。これらの3つの側面はすべて重要です。ー曲の歌をうまく歌いたいのであれば、一定の歌唱力と表現力が必要です。そして正確な発音滑舌も非常に重要です。

 アマチュアの歌手の方や、歌がお好きな方などへ、私が皆さんに少しアドバイスをするとしたら、音程とリズムは歌唱において非常に重要だということです。音程が正確でなく、リズムが不安定で、伴奏と合わない場合、歌われる曲は完璧ではなくなります。もし音程が正確で、リズムよく歌うことができれば、少なくとも私からすれば、より綺麗で聴き心地良い歌声になるでしょう。

 これは非常にシンプルな要求ですが、多くの人々はそれに重要性をあまり置かないかもしれません。特に音程の問題は、私は少し緊張すると高くなり、少し疲れていると低くなることもあります。天性のもので上手くできる人もいますが、私自身は意識的に調整しています。

 普段、私は生徒たちに常にこのように言っています。「個人で練習するとき、ステージ上で公演する時のような状態で練習を行うようにしてください。一方、実際の公演の際には、普段の練習のような状態で演じるようにしてください。こうすることで、公演の際にはリラックスした気持ちで臨むことができます。練習の際も常に舞台の状態であるならば、その状態に慣れていきます。」私自身も実際にこれを実践しています。だからこそ、私は学生たちに同じことを要求できるのです。リハーサル室で壁に向かって練習しているときでも、私は壁と向かい合っているのではなく、1000人以上の座席、1000人以上の観客が聴いていると想像します。自分の目にはこのような光景が浮かんでくるようにし、このような想像を持たなければなりません。同時に歌詞の内容、歌詞が表現する光景も目に映るようにします。要するに、あなたの目には常にその内容が浮かんでいなければなりません。歌は感情を伝えるものです。歌に対する自分の理解を、歌唱力と表現力を通して観客に届けるのです。

 この話題はあまりに広く、私の研究分野 ではないので、自分の経験に基づいて少し感じたことを話しますね。私はよくコンサートで中国の歌を1、2曲歌うのですが、その効果は明らかです。日本の観客は歌詞の意味は分からないかもしれませんが、音楽や旋律、わずかな簡単な説明を通して、音楽の表現する内容をしっかりと伝えることができるのです。日本の観客も中国の歌を聴いて満足してくださり、「音楽に国境はない」というのは確かに道理にかなっています。おそらく私の好みだと思いますが、曲を選ぶ際にはオープンで(スケールが)大きく、長調の明るいタイプのものを好む傾向があります。例えば「商地曲」「黄河頌」などです。日本人がこれらの曲を聴いたとき、最初に感じるのは「ああ、これが大陸の雰囲気だ」ということです。広々としていて、明るく大きい感じです。日本の歌も大好きで、聞いているとより穏やかで、そこまで大げさでなく、聴いている人に癒しを感じさせます。





鐘皓

1996年に中央音楽学院声楽オペラ科に入学し、著名な声楽教育者である趙登営氏の指導を受け、2001年に優秀な成績で卒業、同年中央オペラハウス合唱団に入団、2005年に東京藝術大学音楽学部オペラ科に入学し、修士号を取得。現在、洗足学園音楽大学で講師を務める。これまでにバス・バリトンとして『歓喜の歌』『ヴェルディ・レクイエム』『モーツァルト・レクイエム』など多くの重要な作品に出演。オペラでは『トゥーランドット』『ラ・ボエーム』『マクベス』『(屋根の上の)バイオリン弾き/リゴレット』『魔笛』『ナブッコ』『陽気な未亡人』『ランメルモールのルチア』『トスカ』『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『フィディリオ』『カルメン』『ドン・カルロ』『コジ・ファン・トウッテ』『ラインの黄金』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』等で多くの重要な役を湖じる。

今回のインタビュー内容の続きは月刊中国語学習誌『聴く中国語』2023年12月号に掲載されています。さらに詳しくチェックしてみたい方は、ぜひ『聴く中国語』2023年12月号をご覧ください。

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