どんどん進化する見逃せない中国現代建築16選

中国文化

中国には故宮や万里の長城など歴史的な建造物も多いですが、近年の建築ラッシュ下で生まれた

現代建築も枚挙にいとまがありません。今回はその中でも今の中国を代表するような画期的でランドマーク的な現代建築を16作品ご紹介します。中国に渡航したら実際に足を運んでその目で確かめてみませんか?

鐘書閣/李想

所在地:四川省都江堰市(その他、杭州、深セン、重慶にも同店舗あり)
竣工:2020年

2013年に上海に生まれた斬新な店舗設計の書店チェーン「鍾書閣」。「中国でもっとも美しい書店」とも言われる同社の店舗を数多く手掛けているのが上海の建築設計会社「X+Living」の80后女性建築家・李想だ。2020年に都江堰市にできたこの店舗は、鏡張りの天井と床の黒いタイルの反射、エッシャーのだまし絵の世界に迷い込んだような不思議な空間で、建築界のオスカー賞「Architizer A+アワード」を受賞。中国に渡航したらぜひ一度足を運びたい場所だ。

北京大興国際空港/ザハ・ハディド

所在地:北京市大興区、河北省廊坊市
竣工:2019年

未開発エリアの多い北京南部に新しくできた中国最大の空港。英紙『ガーディアン』に「新・世界の7大奇跡」の筆頭と評され、世界的建築家ザハ・ハディドが中国に贈った「天国からの贈り物」とも称される。「翼を広げた鳳凰」をコンセプトにしており、躍動感あふれる輪郭とオレンジレッドの外観が特徴的だ。ヒトデ型の空港ターミナルビルは103万m2と世界最大規模。5G、AI、ロボットなどを取り入れた最新設備で世界からの客を出迎える。

中国国家大劇院/ポール・アンドリュー

所在地:北京市西城区
竣工:2007年

言わずとしれた北京のランドマーク的建築・国家大劇院。北京市の中心、天安門広場の西側にあり、卵の形にしたドーム型の施設だ。メイン建物の外観は半楕円形で、敷地面積は10万5000平方メートル。オペラやバレエ京劇の上演に使われる歌劇院と、オーケストラなどの上演に使われる音楽庁、演劇用の戯劇場、小劇場がある。簡素でありながら堂々とした外観ときらびやかな内装が落ち着く空間だ。その斬新な設計と建築技術で、2008年、中国の建築業界で工事の品質に対して贈られる最高栄誉賞「魯班賞」を授与した。

蘇州博物館新館/イオ・ミン・ペイ

所在地:江蘇省蘇州市
竣工:2006年

地元出身の中国系アメリカ人建築家イオ・ミン・ペイによる作品。場所柄、拙政園と獅子林という蘇州古典園林が隣接しているため、できるだけ周囲の環境になじんだ設計が採用され、江南民家の「白壁に黒瓦」と蘇州古典園林の色香を残す。その上で、新材料や新技術を取り入れた最新鋭の博物館になっている。

上海中心大厦/ゲンスラー社

所在地:上海市浦東区
竣工:2016年

モダニズム建築といえばここを紹介しないではいられない。高さ632mと中国一高く、世界で三番目に高い摩天楼・上海中心大厦だ。上海市浦東新区の陸家嘴金融貿易区にあり、東側に高さ492mの上海環球金融中心、北側に高さ420mの金茂大厦がそびえ、東方明珠塔も加えて上海陸家嘴の新ランドマークを構成する。螺旋状に上昇し1頭の巨大な龍が空に上っていくようなデザインが特徴だ。省エネ・耐風性能も高く、現代中国の急成長を象徴する。観光客は118階の「上海の頂展望台」で、上海の全貌を360度俯瞰できる。

国家体育場「鳥の巣」/ヘルツォーク&ド・ムーロン

所在地:北京市朝陽区
竣工:2008年

その形から、市民から愛称「鳥の巣(鸟巢)」で親しまれている北京の観光名所の一つ、国家体育場。2008年と2022年の北京オリンピックのメインスタジアムであり、陸上競技場、および中国最大級のスタジアムである。スイス人建築家ユニットによる建築だが、中国建築設計研究院の李興鋼や芸術顧問として中国の現代美術家のアイ・ウェイウェイの案も採用されている。

北京中信大厦「中国尊」/コーン・ペダーセン・フォックス

所在地:北京市朝陽区
竣工:2018年

高さ528メートル109階建ての、北京市内の最も高い超高層建築物。上部が広がった独特のフォルムは、中国古代の祭器尊に由来している。ポストモダンの建築を志向し超高層ビルに佳作の多い、アメリカを代表する建築設計事務所コーン・ペダーセン・フォックスが設計した。建築面積43万7000平方メートル、高さ528メートル(地下7階、地上108階)。オフィス、会議、観光、多機能関連サービスを一体化している。世界初のマグニチュード9レベルの地震に耐えられる超高層建築と言われている。

望京SOHO/ザハ・ハディッド

所在地:北京市朝陽区
竣工:2014年

世界的建築家ザハ・ハディッドが死去する2年前に完成した、山型の三棟で構成された円形が特徴の超高層ビル。高さ200メートルの型破りな立方体の形は、北京の東側のランドマークとなっている。2015年にはエンポリス・スカイスクレイパー賞を受賞した。

麗沢SOHO/ザハ・ハディッド

所在地:北京市豊台区麗沢金融商務地区
竣工:2019年

北京には、銀河SOHOや上記の望京SOHO、北京大興国際空港などザハ・ハディット氏の作品が数多く残るが、こちらは彼女の遺作になる。建物全体に螺旋状に45度のひねりが加えられ、建物内部は建物の天井(高さ約200m)までの吹き抜けであり、世界で最も高い吹き抜けの中庭といわれている。

駿豪中央公園広場/馬岩松

所在地:北京市朝陽区
竣工:2017年

朝陽公園南門に誕生したマンションやホテル、商業施設を備えた複合施設。北京のアトリエ系建築設計事務所MADarchitectsの創始者・馬岩松(マー・ヤンソン)が手掛けた。件のザハの事務所で修行しただけあり、その不可思議な姿は街中で異彩を放っている。黒光りする不思議な形は都市における山水をモチーフにしている。建築面積は22万平方メートル、敷地面積は3.5万平方メートル。

中央電視台本部ビル/レム・コールハース

所在地:北京市朝陽区
竣工:2008年

オランダ人建築家レム・コールハース率いる建築事務所OMAが手掛けた高層建築物。高さ234メートル、51階建て。建設には50億人民元を超える金額が投じられた。北京市内の各地に散在、老朽化していた中央電視台の各部署を一つにまとめ、最新のテクノロジーを使えるようになった。北京市民からは、「大ズボン」(大褲衩)とあだ名がついている。

湖州シェラトン温泉リゾートホテル/MADarchitects

所在地:浙江省湖州市
竣工:2012年

地下2階・地上22階・高さ100m以上、太湖の水と一体化した半円形のホテル。最上階の展望室からは太湖の景観を360度楽しめる。空中に浮かんでいるような風景を見ることが出来、片方は陸地、片方は水の中に接地し湖から伸び上がっている。建物本体と湖に映る姿を合わせて大きな楕円形を作り出している。

広州タワー/アラップ社

所在地:広東省広州市海珠区
竣工:2009年

高さ600m。中国で一番高い電波塔であり、東京スカイツリーに次ぎ世界で2番目に高い。「広州新情景」をテーマとし、建物は「繊細な腰」をイメージした細長い曲線美が印象的なタワーだ。

武漢駅/ AREP、鉄道第四勘察設計院

所在地:湖北省武漢市
竣工:2009年

鶴が翼を広げる姿がモチーフの流線型の金属屋根が特徴的な駅。高架式のプラットホームの真上にコンコースが作られており、利用者はコンコースからプラットホームに停車している列車を俯瞰することができる。

ハルビン大劇院/MAD Architects

所在地:黒竜江省ハルビン市
竣工:2015年

松花江のほとりに総面積25万9080平方メートルの敷地で計画された、オペラハウスやカルチャーセンターなどで構成される「ハルビン・カルチュラル・アイランド」プロジェクトの一部。ハルビン市内の湿地帯に位置し、寒冷な気候を反映した設計が特徴。風に削られたような波打つ外観のデザインと白いアルミパネルの外壁が、滑らかでソフトな印象を与える。

中国銀行タワー(中銀大厦)/イオ・ミン・ペイ

所在地:香港特別行政区中西区
竣工:1990年

中国銀行の本店ビル。地上72階建て高さ367.4m。『幾何学の魔術師』との異名を持つ中国系アメリカ人建築家、イオ・ミン・ペイによる彼の代表作だ。鋼鉄製のトラスの枠組みを生かし、幾何学イメージを連想させ都会的なイメージだ。発展する香港の街を成長の早い植物の竹に見立てて起草されている。

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