飛び込め北京~編集部員Tの北京生活13年~⑨北京での休日の過ごし方:半日コース編

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北京で情報誌を作る仕事をしていた私は、休日も情報収集がてら様々なスポットに足を運んでいました(ただ遊んでいただけではないんだねって?)。

北京には故宮長城など世界遺産がたくさんありますが、例えば上海と比べるとちょっと地味な印象がないでしょうか。ですが、楽しいスポットも沢山あるんです。

ここでは長年北京に滞在した私が過ごした、テーマ別北京の休日オススメスポットをご紹介。今回は、午後からのお出かけでも楽しめる、近場の半日コース編をお送りします。

オシャレな気分で過ごしたい

三里屯、工体エリア

三里屯Village:ショッピングモール、オフィス、ホテルなどの建物が19棟並び、約210軒のショップが集まる。

このエリアは昔から各国の大使館があったこともあり、欧米人などの外国人が多く集い、現在は、大型複合商業施設三里屯Village(三里屯太古里)を中心に文化やエンタメの発信地となっています。

このエリアには洋服からお土産まで揃う卸売市場雅秀服装市場(国貿エリアには同様の市場・秀水市場)があり、値引き交渉(讨价还价)を楽しんだりしました。(現在は、ネット通販の発達により街中の卸売市場がどんどんなくなっているそうです。悲しい…)

雅秀服装市場:数年前にきれいになったが、相変わらず色々なものが売っている。

私がよく通っていた3.3大廈というファッション(时尚)ビルは、個性的なセレクトショップが入っていてウィンドウショッピングするだけでもワクワクしました。ネイルショップ(美甲)もあり、私はそこで人生初体験のジェルネイル(光疗指甲)をしました。三里屯Villageの裏側の界隈には、ファッショナブルで楽しげな路面店がたくさんありました。

三里屯Villageの裏にある3.3。多少まがい物感というか現地感の香るショップが入っていて楽しい。

また、工人体育館の北側・幸福村エリアは、昔から外国人御用達エリアで国際学校や外国人向けの高級マンションも近く、ビアバーなどで楽しむ欧米人の姿が見られます。

外国人向けのJennyLou’s(婕妮璐)という輸入食材(进口食品)が揃う店もあり、たまに日本の味や外国の味を求める時に重宝しました。

1988年に創業された北京の連鎖型輸入スーパー、ジェニールー。輸入食品、飲料、日用品などを提供し、北京を中心に複数の店舗を展開する。

各国レストランも豊富で、本格ピザ(比萨)が楽しめる店(bottega意库)クラフトビール(手工啤酒)「京A BrewPub 幸福村中路」クラブ(俱乐部)「Vics」などもあり、オシャレして訪れていました。韓国人同僚Bの欧米人の友人たちとクラブで怪しいお酒を嗜み踊って夜を明かした事も、今は良き思い出です…w

bottega意库の店内。イタリア人兄弟によるとっても美味しいピザが味わえます。
北京の夜のエンターテイメントシーンを代表する、三里屯で超有名なクラブVicsは一度足を運ぶ価値あり!

屋上でお酒を提供している店も多く、中には砂を敷き詰めた砂浜バーなどで開放感を味わうのも楽しかったです。工体には老舗ゲイ(同性恋)バー(目的地destination)もあります。

三里屯エリアのオススメカフェ

老书虫咖啡馆
文学や芸術、歴史などの分野の書籍が多数揃い、落ち着いて読書するのに最適なカフェ。「世界のベスト10書店」にも選ばれたことがある。
住所:工人体育场北路南三里屯路4号楼

This is C5 café

植物と陽光に包まれたガラス張りのカフェ。創意に富んだインテリアや家具も販売。都会の喧騒を忘れさせてくれるオアシスのような存在だ。
住所:朝阳区三里屯西五街5号F座

昔ながらの北京を歩きたい

后海、鼓楼エリア

后海:湖の周りにはレストランが立ちならぶ。冬は屋外スケート場としても楽しめる!

北京と言って思い浮かぶのは故宮や長城でしょうか?その近くに楽しいエリアがあります。

北京は碁盤の目のように東西南北に道路が交差しており、故宮周辺をぐるりと囲む道路・環状二号線(二環)は、かつての旧・北京城の城壁跡に沿って建設されました。紫禁城内城のこの辺は、昔ながらの古い町並み(胡同)が今も残っています。この后海、鼓楼エリアは絶対にオススメ。

北京にやってきて間もない頃、お世話になったK先輩に連れられてきてからというもの、一人で、あるいは友人らと何度も通いました。仕事では基本的に朝陽区というオフィス街にいるので、真逆の世界に身を置くと開放感が半端なかったです。

南锣鼓巷:中国を代表する演劇大学「中央戯劇学院」のあるストリート。カフェや雑貨店が立ち並び、多くの人で賑わっている。

このあたりで最も有名な胡同・南锣鼓巷は、昔は散策にうってつけのエリアでしたが、ここ10年ほどは中国じゅうから人が押し寄せて歩けない日もあるため、その周辺の裏通りを歩くのが良いです。鼓楼东大街の辺も少し落ち着いていていい感じです。このあたりは、北京の古い建物(四合院)をリノベーションしたカフェ(咖啡厅)や、バー(酒吧)も豊富です。

鼓楼東大街:歴史建造物の鼓楼の東側の通りで、ここにも小さなショップが立ち並ぶ。鼓楼と北側の鐘楼にも登ることができる。

后海エリアのオススメ店

大跃啤酒GreatLeapBrewing(豆角胡同店)
歴史ある四合院を改装し、伝統的な中庭の雰囲気を楽しみながらクラフトビールを味わうことができるブリュワリー。 ​定番のラガーやウィートビール、IPAに加え、菊花など中国特有の素材を使用したユニークなビールも提供されている。
住所:東城区豆角胡同6号

静水咖啡

丁寧に淹れたハンドドリップコーヒーや特製ドリンクを楽しめる。伝統的な趣のある店内で、2階のテラス席では、北京の夕日を楽しむこともできる。暑い夏の日には、最高のリラックス・スポットだ。
住所:鼓楼东大街69号,靠近南锣鼓巷

雍和宫エリア

雍和宮:清朝時代の建築が見事に残っており、祈祷に訪れる中国の人たちで賑わっている。夜はライトアップされることも。

后海エリアもいいけれど、人混みを避けたければ、雍和宮エリアもオススメ。雍和宮は東城区にある北京最大のチベット仏教(ラマ教)の寺院です。また、近くにはかつての中国最高学府、科挙試験の中心地、国子監・孔子廟(孔廟)や、古い四合院をリノベーションしたカフェやショップが集まる五道营胡同もあり、のんびりできます。

国子監大街:元、明、清の時代を通じて学問の中心地として栄えてきた歴史的な通り。伝統と文化を深く感じることができるスポットだ。

私はかつてこのエリアに2年ほど住んでいました。お仏壇屋さんが立ち並ぶこのエリアはお線香の匂いが漂い、今思い出すと、ここに住んでいた頃が一番老北京の人たちに混じって心落ち着く時代だったな…と思います。北に春節のお祭り(廟会)で有名な地坛公园があるこの辺りは、風水的にとても良いと聞いたこともあります。

五道营胡同エリアのオススメ店

藏红花西餐厅
本格パエリアとサングリアなどのワインが味わえる店。四合院を改造し、中庭もある開放的な作りで、二階のテラスは開放感がありオススメ。
住所:东城区五道营胡同64号

梵几客厅
シンプルかつデザイン性に富んだ中国スタイルの食器や文具、家具、小さな中庭が、訪れる者を引きつけるライフスタイル提案ショップ。
住所:东城区国子监街41号

前門エリア

前門大街:北京城の南門「前門」に隣接した通り。清代から続く歴史的な商業地区だ。

故宮の近くで老北京を味わうなら、天安門広場の南に位置する前門(前门大街)がオススメ。このあたりは観光客に向けたお土産(纪念品/特产)店が数多く集まるほか、最も有名な通り大柵欄には、量り売りをしてくれるお茶屋さん張一元漢方薬局北京同仁堂などの老舗店(老字号)が数多く残っていて、お土産を買えるほか、最近は胡同におしゃれなカフェが多く、散策しやすいです。

大柵欄:北京最古の商業街で、明代(約600年前)から発展してきた老北京文化の象徴的なエリア。清朝末期や民国時代の雰囲気が感じられる。

前門エリアのオススメ店

SOLOIST Coffee.COT 咖啡店
杨梅竹斜街は、かつて文人や詩人が集った歴史ある場所。民国時代にタイムスリップしたような店内にアンティーク家具やヴィンテージアイテムが並び、特に2階から眺める夕日の景色は絶景。
住所:西城区杨梅竹斜街39号

MENTAL HANDS(前門店)
世界TOP50に選ばれた必訪のカフェチェーンで、民国風の2階建ての建物に入る。特にDIRTYコーヒーが人気。
住所:西城区西打磨场街228号

模范书局 诗空间(Mofan Bookstore Poetry Space)
前身は113年の歴史を持つ中国聖公会教会(中华圣公会教堂)。1907年に建設され、20世紀の変遷を経て現在は詩と書籍をテーマにした文化空間として生まれ変わった。カフェやイベント利用ができる。
住所:西城区佟麟阁路85号

アートに触れたい

798芸術区

798芸術区:中国屈指の現代アートエリアで、400以上のギャラリー、デザインスタジオ、アートスペース、ショップ、カフェ、バー、メディア企業などが集う。

現代アート(当代艺术)に触れるなら、798芸術区へ。この一体は社会主義時代に工場群(工场)がありましたが、一部が残り、アーティスト(艺术家)アトリエ(工作室)が多く入るようになりました。現在は現代アートの美術館(美术馆)ギャラリー(画廊)が集まり、文化芸術エリアとなっています。

疲れたら休めるカフェやレストランも多くあるので気軽に足を運べる場所ですが、主要な展示がない場合はガランとした殺風景な場所に見えるので、「この展示を見よう!」などと目的を持っていったほうが楽しめると思います。工場の中は一部開放していて探索できるので、ぜひ足を運んでみてください。

UCCA尤伦斯当代艺术中心

中国を代表する現代美術館。1957年築の工場を改装し、2019年にOMAによってリニューアル。2007年開館以来、国内外の現代アートを紹介している。

東四

中国美術館:中国最大級の美術館。1963年に開館し、敷地面積は約3万平方メートル。展示スペースも広く、多くの収蔵品を誇る。

東四という王府井大街を北上した場所にある中国最大級の美術館・中国美術館もオススメ。1958年に着工、1963年に開館。館名は毛沢東主席の筆によるもので、中国の伝統美術から現代アートまで幅広い作品を収蔵・展示。中国の伝統建築様式(黄色の琉璃瓦屋根を持つ仿古閣楼式)を取り入れた建築デザイン(建筑设计)も特徴的。近隣には美術用品を扱う店もあり、この辺りも雰囲気があります。(最近はこの辺にも新しいショッピングモールができ、若者たちの新たなスポットが生まれる予感があるそうです!)

中国各地の料理が食べたい

簋街

簋街:正式名称は東直門内大街。全長約1.5kmにわたり約150軒以上のレストランや屋台が並ぶ、北京屈指の深夜食堂街だ。

地下鉄二号線「東直門(东直门)にほど近い有名なグルメストリート「簋街」に行けば中国各地の色々なものが食べられます。このあたりは夜になると、赤い提灯(灯笼)がともり、様々なレストランが多くの人々で賑わいます。私は北京1年目にここで、ザリガニ(小龙虾)蛙鍋(田鰻火鍋)などの珍味を初体験しました。店内に水路が張り巡らされているレストランなど趣向も凝らされていて、食のエンタメ感が強いエリア。多くの店は夜遅くまで営業していて、酔い冷ましの街ブラも楽しめますよ。

各省・市政府レストラン

中国の首都・北京には、地方政府の北京事務所運営のレストラン(驻京办餐厅)が約80個所あるそうです。特に、新疆巴音郭楞モンゴル自治州駐北京事務所レストラン(新疆巴州金丝特餐厅)や、四川省宜宾市のレストラン(宜宾招待所餐厅)などが人気のよう。広い中国を旅したい、けれど時間に限りがあるとか、近場で旅行気分を味わいたい人は、こういう本場の(地道)店を食べ歩くのも良いかもしれません。

新疆巴州金丝特餐厅
まるで新疆の美食の宴に身を置いたような内装が特長的。羊肉串や鶏肉とジャガイモの大盤鶏、麺、ナン包み肉等を楽しむことができる。
住所:海淀区四道口路皂君庙2号

異国情緒を感じたい

西四

西什库教堂:19世紀の清朝時代に建てられ、西洋と中国の建築スタイルが融合した特徴的な外観を持っている。

ちょっと異国情緒を感じたくなったら、北京のカトリック教会(西什库教堂)がある西四に足を運ぶのはいかがでしょうか。教堂の建物は、大規模なバロック様式の建築を基盤にしつつも、中国の伝統的な要素も取り入れたデザインが施されていて、西洋の宗教建築中国の文化的背景が巧妙に融合しています。現在も礼拝の場所として利用されていますが、時間によっては見学・撮影もできます。帰りには最寄りのカフェ1901cafeでのんびりするのも至福のひとときです。

西四エリアのオススメ店

1901cafe
レトロカフェ。1階で注文、2、3階にソファ席がある。床がきしみ、窓際に夕日が差し込んでリラックスでき、長居できる。
住所:西安门大街101号

外国レストラン、バー

北京には、世界各国のレストランがありますが、特にオススメなのが中国の近隣諸国のレストランや音楽が楽しめるバーです。東二環の外側にはロシア人街などもあるので、ロシア(俄罗斯)スタン系(斯坦系)トルコ(土耳其)モンゴル(蒙古)など、日本ではちょっと馴染みの薄い国の文化に割と手軽に触れることができます。私も異国の雰囲気に触れたくなった時、度々訪れていました。モンゴルの音楽バーで馬頭琴の演奏を間近で見れた時は、その迫力に一気に魅了されましたよ。

オススメ店

圣天使沙市餐厅
北京で唯一のウズベキスタン文化芸術レストラン。時間によってはウズベク楽器の演奏を楽しみながら、プロフなどのウズベク料理を楽しむこともできる。
住所:朝阳区呼家楼向军北里四巷10号圣天使酒店

外でのんびりしたい

朝陽公园

朝陽公園:北京市朝陽区にある広大な都市公園。面積は約288.7ヘクタールで、東京の代々木公園や上野公園の約8倍、ニューヨークのセントラルパークよりも広いそうです。

晴天の日は、のんびり公園散策もおすすめです。北京にはたくさんの公園があり、市民の憩いの場となっています。太極拳カラオケ屋外ダンス(广场舞)凧揚げ(放风筝)などに興じる人々を観察するだけでも楽しいし、遊園地(游乐园)もあるので子どもを遊ばせることも可能です。日本人居住区に近い朝陽区の朝陽公園では、遊園地やボート遊び(乘船)の他、サイクリング(脚踏自行车)、夏はプール(游泳池)に冬は雪遊び(玩雪)などもでき、どんな季節に行っても何かしら楽しめます。

複数人で乗れる観光自転車も気軽に乗れるので、楽しいですよ!

おまけ:疲れを癒やしたい

マッサージ・SPA

北京に住んでいる日本人の多くが本場のマッサージにお世話になっていると思います。北京では、友達とカフェに行くような感覚で気軽にマッサージに行きます。北京には無数のマッサージ店がありますが、特に日本人が多く住む麦子店エリアにはマッサージ店が多数入るビル「賓都苑」があり、はしごするのも良いかもしれません。

また、もう少し贅沢な雰囲気を味わいたいなら、東方大班などの大型SPAでゆったりするのもいいです。

賓都苑:日本大使館の近くにあるマッサージビル。様々な店舗が所狭しと入居しています。

松霖保健足道
長年日本人駐在員たちに愛されるマッサージ店。日本人に慣れていて安価な価格帯も通いやすい。
住所:朝阳区麦子店街78号

また、本格的な盲人マッサージを受けるなら、「北京按摩医院」に行くのもオススメ。しっかりした施設で、さらに盲人按摩の繊細なマッサージにきっと驚くと思います(外国人はパスポート必須)。

北京按摩医院
1958年に設立された中国の伝統医学病院で、中国障害者連合会に所属。 ​国際患者部門では外国人患者を受け入れている。​最近は2週間前までに予約が必要だとか。​英語でのサービスも提供されている。
住所:西城区宝产胡同7号

美容室

また、夏の暑い日に歩き疲れたら、その辺りの美容室(造型店)に適当に入り、洗髪(洗头发)ブロー(吹风)をしてもらえば、手軽でスッキリ、リフレッシュできますよ。

北京の街でたくさん見かける「审美造型」は、北京発の大型美容室チェーン。地元の店で髪を切るのはちょっと勇気がいるけど、洗髪くらいなら気楽に入れる。

まとめ

いかがでしたか?半日でも楽しめる北京の魅力は、まだまだ語り足りません。

私が暮らしていた2007年から2019年の間にも、北京は常に変化し続けていました。現在も北京に住む元同僚に確認したところ、街は今もなお大きな変化を遂げているとのことです。

伝統と革新が共存するこの街の「今」を、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。

※なお、紹介したお店は2025年現在の情報ですが、北京は変化が速い街です。訪問前には最新情報のチェックをお忘れなく!

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