うっちーの中国語四方山話㉑ことばは音「ロンドン橋落ちた」――求められるテキスト

中国語学習

中国語語学誌『聴く中国語』では日中異文化理解をテーマにしたコラムを連載しています。

今回は日本中国語検定協会理事長の内田慶市先生が執筆されたコラム、うっちーの中国語四方山話−異文化理解の観点から㉑ことばは音「ロンドン橋落ちた」――求められるテキストをご紹介します。

 イギリスには「マザーグース」という古くから口伝えで広まった「わらべ唄」がありますが、子どもたちがことばの感覚を育むのに役立っています。たとえば、次の「ロンドン橋落ちた」や「キラキラ星」はその代表的なものです。「ロンドン橋落ちた(London Bridge is broken down)」の歌は日本のみなさんも聴き馴染みがあるでしょう。

*”broken down”は”falling down”とするものもあります。

一方、「キラキラ星(Twinkle, Twinkle, Little Star)」は「ABCDEFG…」という「ABCの唄」のメロディーで歌われます。

日本でも私たちが子どもの頃に歌った「通りゃんせ」「かごめかごめ」がそうですし、次の唄もその類いですね。

実はこうしたわらべ唄は中国にもあります。

映画「城南旧事」(邦題は「北京の思い出」)でも乳母が子どもをあやす唄として歌われています。

日本と中国のわらべ唄に共通するのは「タンタンタンタン・タンタンタン」という「4+3」のリズムです。これが日本人にも中国人にも何故かぴったりくるのですね。次の中唐の詩人張継という人の「楓橋夜泊」は日本でもよく掛け軸で見ることがあるでしょうが、まさに、全句「4+3」で組み合わされています。口に出して読んでみて下さい。心地よい響きを感じられますか?

中国にはまた「快板」というカスタネットに似た竹製の楽器(大板と節子)を打ち鳴らしながら、リズムに乗せて早口で物語や口上を語る伝統的な民間芸能があります。私もかつて自分の編纂した中国語テキスト(『新校アラカルト中国語』同学社)にそれを模した会話文を入れたことがあります。

この他「早口ことば(绕口令)などもなかなか楽しいものです。

 

単なる会話文だけでなく、こうした「ことば遊び」の要素も取り入れながら「音とリズム」を体感して中国語を身につけていく、そんなテキストもあっていいのではないでしょうか?ことばは「音」なのですから。

内田 慶市(うちだ けいいち)/1951 年福井県生まれ。博士(文学)・博士(文化交渉学)。専攻は中国語学、文化交渉学。福井大学教育学部助教授、関西大学文学部・外国語学部教授、大学院東アジア文化研究科教授を歴任。2021年関西大学外国語学部特別契約教授定年退職。東アジア文化交渉学会常任副会長( 2009 年~)、中国語教育学会理事( 2016年3月~2020年2月)、関西大学アジア・オープン・リサーチセンター長( 2017年4月~)、日本中国語検定協会理事長(2020年6月~)。主著に『近代における東西言語文化接触の研究』(関西大学出版部、2001)、『文化交渉学と言語接触─中国言語学における周縁からのアプローチ』(関西大学出版部、2010)、『漢訳イソップ集』(ユニウス、2014)などがある。

今回紹介したコラムは『聴く中国語』2025年12月号に掲載しております。

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