留学の終わり、新しい旅のはじまり

中国留学記
コラムニスト 水上華
日本と中国のハーフ。日本で生まれ育ち高校三年生の時に中国への留学を決め中国の大学に入学するも、新型コロナウイルスの影響で一年生の間は中国への渡航が叶わず日本でオンライン授業を受けた。

 今回のコラムで「私の中国留学記」は最終回となります。長いようで短かった中国での学生生活も、ついに幕を閉じました。先日、無事に卒業証書を受け取ったとき、嬉しさと同時に少しの寂しさもこみ上げてきました。

 思えば、私の留学生活は少し特別な形で始まりました。新型コロナウイルスの影響で、最初の二年間は日本からオンラインで授業を受けていたのです。本来なら入学と同時に上海へ渡り、現地での大学生活をスタートさせるはずでしたが、パソコン越しに先生やクラスメートと交流する日々が続きました。中国語の環境に身を置きたくて留学を決意した私にとって、それはもどかしい時間でした。周囲との距離を感じることもあり、正直に言えば何度も不安になりました。

 ようやく中国に渡航できたのは大学2年の後期。念願の上海生活が始まると、そこからの二年間は本当にあっという間でした。毎日が新鮮で、見るものすべてが刺激的。授業の後は友人たちとカフェへ行き、週末には小旅行へ。なかでも印象に残っているのは、各地を旅したときのことです。同じ中国でも、地域によって街の雰囲気や人々の気質、食文化まで大きく異なり、その違いを肌で感じることができました。歴史ある古都では落ち着いた街並みに心が和み、一方、都市では活気あふれるエネルギーに圧倒されました。そうした一つひとつの経験が、中国という国の奥深さを教えてくれたように思います。

 当初は「二年間も現地で過ごすのは長いな」と思っていましたが、時間は驚くほど早く過ぎていきました。友人たちとの日々が楽しく、授業も充実していて、気づけば卒業が目前に迫っていたのです。振り返ると、最初の二年間を日本で過ごすことになったのは少し残念で、もし最初から現地で生活できていたら、もっと多くの経験や出会いがあったかもしれないと思うこともあります。それでも、限られた時間を心から充実させることができたのは、何よりの誇りです。

 留学を通して出会った仲間たちは、私の一生の宝物です。卒業式の日、友人たちと写真を撮りながら「もう毎日のように会えないんだ」と思うと胸がいっぱいになりました。みんなそれぞれ違う道を歩み始めています。自国に帰って就職する人もいれば、中国に残って働く人、大学院に進む人もいます。進む道は違っても、共に過ごした時間が消えることはありません。これからも連絡を取り合い、お互いの近況を伝え合いながら、それぞれの場所で頑張っていきたいと思います。

 このコラムを通して、自分の留学生活を言葉にすることで、思い出がさらに深く心に刻まれました。大学を卒業した今、留学生活には一区切りがつきましたが、この経験は間違いなく私の人生において大きな糧となりました。中国で過ごした日々を通して学んだこと、出会った人々への感謝を忘れず、これから社会人として新しいステージへ踏み出したいと思います。

 最後になりますが、これまで「私の中国留学記」を読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

本コラムは『聴く中国語』2026年1月号に掲載しております。

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