超訳・詩の中に広がるにゃんだフルワールド(9)猫なんて呼んでも来ない

コラム

中国語語学誌『聴く中国語』では猫と詩人をテーマに昔の漢詩をご紹介しています。

今回は声優で翻訳家である白伊先生が執筆された、猫なんて呼んでも来ないというコラムをご紹介します。

 ペット界の代表者としてよく引き合いに出される、犬と猫。「犬は食べ物を出してくれる人を主人として崇め、猫は食べ物を出してくれる人を下僕としてこき下ろす」という説は実に説得力があります。

 犬は人にまとわりついて、隙あらばペロペロと舐め回すことから、他者に媚びへつらう人間を「舔狗」と茶化す言葉まで誕生させましたが、「舔猫」という言葉は世界の終りまで誕生しないでしょう。気高いお猫様は、無駄な人間関係を築くことにこれっぽっちも興味ありませんから!

觅猫诗 mì māo shī/明-胡镇

【现代文】

寻找猫猫,敲打盆罐,趴在栏杆上四处张望,但东寻西觅也看不到它的踪影。

“咪咪!咪咪!”在长着青苔的小路上徘徊,呼唤猫猫,却突然发现它在鲜花盛开的台阶上呼呼睡大觉,对我置之不理。

訳文:

猫ちゃん、どこへ行ってしまったんだ?

瓶や缶をカンカン叩いて音で引きつけようにも効果なし。欄干にもたれかかって周囲を見回してもちっともその姿は見当たらない。

「猫ちゃん!ねこちゃーーん!」と呼びながら苔の道を探し回っても収穫なし…

ふいに花の咲く階段に目を向けると、いた!探し回ったこっちの気も知らずに、まだスヤスヤ眠っている。

これはにゃんの言葉?

嘧嘧 mì mì

猫の鳴き声を形容する擬声語。現代は「咪咪」に取って代わられた。中国人は猫に出会うとほぼ確実に「咪咪」と呼びかけるほど、日本の「たま」や「ミケ」以上にポピュラーな通称で、全ての猫の呼び名と言っても過言ではない。

聴覚の良さと聞き分けの良さは別物!

  犬は人が呼ぶとすっ飛んでくるが、猫はそうではない。声に応じてチラリと一瞥くれたら御の字で、大半は振り向かずに「余は聞こえておる」と耳だけ動かし、たまに鬱陶しそうに尻尾で床をベシベシ叩く時もある。

 猫の聴力が悪いのかと言うとそうでもない。猫の可聴域は実は犬を上回っており、なのに呼んでも来ないのはただただ「気分が乗らない」からである。

 耳と言えば、猫が威嚇モードに入ると「イカ耳」になるが、後ろへ下げられた平らな形が飛行機の翼に似ていることから、中国語では「飞机耳」と呼ばれている。

「飞机耳」を見たら、「撫でやすそうな頭~」とか思わずに、そっとしてあげよう。猫の聞き分けがないぶん、人間が聞き分けよくしないといけない。

今回紹介した白伊先生のコラムは『聴く中国語』2024年12月号に掲載しております。

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