うっちーの中国語四方山話⑩ 中国語の非言語コミュニューケーション

コラム

中国語語学誌『聴く中国語』では日中異文化理解をテーマにしたコラムを連載しています。

今回は日本中国語検定協会理事長の内田慶一先生が執筆されたコラム、うっちーの中国語四方山話−異文化理解の観点から⑩ 中国語の非言語コミュニューケーション をご紹介します。

 日本語には「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、『広辞苑』によれば「情をこめた目つきは、口で話す以上に強く相手の心を捉える」という意味だそうです。目は語らずとも相手に言葉と同じように自分の意志を伝えることができるということでしょう。人と話をするときには真っ直ぐに相手の目を見て話さないといけないということもよく言われます。

ところで、スマホの普及で「顔文字」「絵文字」などSNSやメールでは当たり前になっていますが、日本の顔文字とアメリカの顔文字には実は大きな違いがあります。

日本 (^_^) (>_<) (T_T) 
アメリカ:)  :(   :_(   
   

  どうです?違いが分かりますか?

  まず、アメリカは顔文字を横向きに見ます。日本は口は同じですが、アメリカだと目が同じなんですね。と言うか、アメリカは口のバリエーションが豊富なんです。

:-P(ペー) :―Z(眠い)  :-@(叫ぶ) :-Q(たばこを吸う):-x(キス)

 そう言えば、アメリカ人はよくサングラスをかけたりしますが、一方でマスクは殆どしません。まあ、コロナ禍ではするようになりましたが、一旦、収まるともう全くノーマスクです。一方日本はと言えば、サングラスはあまり好いイメージはないですが、マスクはコロナ禍以前からよくしていました。コロナ禍が終息した今でもまだ半数はしているのではないでしょうか?

つまりは、日本人は「目」を、アメリカ人は「口」を重んずるということかも知れません。

では、中国の「顔文字」はどうでしょう?

中国では「顔文字」のことを“表情符号”或いは“表情包”と言います。

日本と同じようなものもありますが、結構複雑なものもあり、また、最近は上のような「顔文字」は流行らないそうです。その代わり、抽象的なものでなくもっと具体的なものがよく使われるようです。アニメーションのものも多いです。

 さて、こうした「顔文字」も「非言語コミュニューケーション」の一種ですが、「非言語コミュニューケーション」の代表はやはり「身振り言語」(“体态语”)でしょう。

「身振り言語」もまた民族、時代によって大きな違いが見られます。例えば、「Yes(はい)」は首を縦に、「No(いいえ)」は首を横に振るのが当たり前と思われていますが、実は案外そうでもないようです。ブルガリア人やネパール人は「Yes」が横で、「No」が縦らしいのです。スリランカ人はいずれも「横に振る」が、力を入れて振るのは「No」で、ちょっと振るのは「Yes」ということのようです、

“吃饱了”も中国人も日本人も大抵はお腹に手を当てて「もういっぱい」ですが、これもどうやら違うようで、ロシア人は手を首の辺りに、フランス人は上唇の辺りに、カナダ人は何と額の所まで挙げて「お腹いっぱい」ということらしいです。

では、中国語の次のような指の動作は一体どういう意味を表すでしょう?

(1)竖大拇指 (2)竖小指 (3)用指头敲桌子(广东) (4) 用食指刮脸皮

(1)は「最高!」「ナンバーワン」、(2)はその逆で「最低(“最差”)」、(3)は特に広東とか南方に限るようですが「ありがとう」ということ、(4)は「“没羞!”“羞!”(恥知らず!)」という意味になります。

この他,数字の表し方も中国と日本では違いますね。特に「6」「7」「8」「9」は日本と中国では随分違います。

 いずれにせよ「ボディーランゲージ」はまさに「所変われば品変わる」ですね。結局は、ものごとは一つの基準で判断してはいけないということ、つまりは多様性を認めるということにつながりますね。

内田 慶市(うちだ けいいち)/1951 年福井県生まれ。博士(文学)・博士(文化交渉学)。専攻は中国語学、文化交渉学。福井大学教育学部助教授、関西大学文学部・外国語学部教授、大学院東アジア文化研究科教授を歴任。2021年関西大学外国語学部特別契約教授定年退職。東アジア文化交渉学会常任副会長( 2009 年~)、中国語教育学会理事( 2016年3月~2020年2月)、関西大学アジア・オープン・リサーチセンター長( 2017年4月~)、日本中国語検定協会理事長(2020年6月~)。主著に『近代における東西言語文化接触の研究』(関西大学出版部、2001)、『文化交渉学と言語接触─中国言語学における周縁からのアプローチ』(関西大学出版部、2010)、『漢訳イソップ集』(ユニウス、2014)などがある。

今回紹介したコラムは『聴く中国語』2025年1月号に掲載しております。

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