中国に興味があって行ってみたいけれど、なんとなく「怖いかな?」とか「やっぱり中国語できないとダメ?」と思い悩んでいるあなたの背中をえいっと押すきっかけになれば…。「中国語はそんなに得意ではないが興味だけはあった」アラサー日本人女性が、中国に出会い、七転八倒して過ごした北京での思い出を綴ります。
■「飛び込め北京」シリーズを読む

北京に住んでみて楽しいこともたくさんありましたが、その反面、日本では考えられないような失敗やトラブルにも直面しました。今では笑い話にできるものから、できれば思い出したくない事件まで…。「ここは外国だ」と気を引き締めることの大切さを、身をもって学びました。
今回は、そんな私の体験談≒事件簿を赤裸々にご紹介します。北京に(あるいは海外に)行く前にぜひ読んで、「こんなこともあるのか!」と、心に留めていただけたら幸いです。
時計盗難事件
職場で私物を置いていたら…なくなった!?

職場のデスクに置いていた腕時計が、気づいたら全部消えていました(汗)。すべて高価なものではなかったのですが、周囲でも「俺も時計盗まれたことあるよ」という声が。出入りしていた掃除のおばさん(阿姨)が疑われましたが、証拠もなくそのまま…。大事な物は、肌身離さず管理するか、持ち歩かないのが鉄則です。
タクシー事件
「日本人です」とは言わなくなった理由

発音の甘さから、運転手に「香港人?韓国人?」と聞かれることがしばしばありました。最初は「日本人」と答えていましたが、反日運動が勃発した時には乗車拒否や途中下車をされたことも。全体的に北京では「日本人」はあまり受けが良くなかったので、言われるがまま「香港人」の設定で通すようになりました…。
偽札をつかまされた…!

まだ配車アプリが普及していなかった2010年代前半までは、タクシーのトラブルは日常茶飯事でした。特に悪質だったのは、100元札を渡した際に「お釣りがない」と言われ、返された紙幣が偽札(假钞)だったケース。現在はキャッシュレス化とアプリの進化で、こうした不正も激減し、安心して乗れるようになりました。一言も会話しなくていいし、何人か?など聞かれることもなくなり、本当に素晴らしいサービスだと実感しました!
スマホは返ってこない?

飲み会から帰宅する際にタクシーに携帯、スマホを合計2回落とし忘れてしまったことがありますが、戻ってきたことはありませんでした。当時は車内が暗く連絡も取りづらかったですが、今ならアプリで追跡や通報もできるので、状況はだいぶ改善されたと思います。配車アプリ様々です!
派出所未届事件
登録を忘れると、怒鳴り声で起こされます

初めて自力で家を借りた時、住居登録をしなければならないことを知らなかったため、ある朝「ドンドン!」という激しいノックと共に、おじさん(おそらく大家さん※その一回しか会わなかった)の怒鳴り声で叩き起こされました。中国では外国人が居住地を変えた際、24時間以内に派出所に登録しなければならないルールがあるのです。知らなかったでは済まされない、肝に銘じるべき教訓でした。

その後、2013年からは、一時帰国や海外から帰ってきた後にも必ず派出所に上記の「住所登记表」を登録しにいかねばならなくなりました。子どもが生まれてからは頻繁に日本と行き来していたので、この作業はなかなか面倒だったのですが、やらないと「あの時みたいに大変になるかも!」と手続きをしていました。
偽酒事件
そのお酒、本物ですか?

欧米人と一緒に三里屯のクラブに行った時、カクテルを一杯飲んだだけで異常に酔ってしまいました。後から、偽酒(假酒)や粗悪アルコール(劣质酒)の提供が問題になっていたことを知り、冷や汗…。混ざり物の多いカクテルには特に注意が必要です。
スマホ窃盗事件
ぶつかられたと思ったら…スリだった!

ランチタイム時に会社の下にあるセブンイレブンで買ったお弁当を両手で持って歩いていたところ、後ろから人にぶつかられた感触が。会社に戻ってみると、ポケットのi-phoneが消えていました!そのセブンイレブンは、スリ(扒手)が金目の物を持ってそうなカモを物色する常連スポットだったとか…。人混みでは特に注意が必要です。
スリ目撃事件
新宿顔負け!?北京のスリ事情

会社のあった大望路は、高級デパートが立ち並ぶ一方でスリも多発していました。新疆系の若者集団が人混みを作り、財布を抜き取り、現金だけ抜いて生け垣に捨てる…という現場を何度か目撃したことがあります。現金社会が縮小している今でも、油断禁物です。
契約書窃盗事件
渡した契約書、戻ってこず、押金も戻らず…

退去時に不動産屋に契約書を「ちょっと見せて」と言われ、そのまま持ち逃げされ、敷金(押金)も戻ってきませんでした。契約書は渡す必要はないので絶対に渡さないこと。何があっても手元に保管しておきましょう。
忍び込み事件
ドアが開いていたら、盗まれる!

結婚祝いでもらったプレゼントと一緒に帰宅した夜。翌朝、なぜかドアが開いており、一眼レフやiPad、ご祝儀の現金が消えていました…。警察を呼び、現場検証もしましたが、結局犯人は見つからず…。例え、マンションの内廊下に面した部屋でも、施錠と貴重品管理は徹底するべきでした。
ATMに注意!
カードは自動で出てこない!?

渡航から2ヶ月ほど経った頃、日本人会に参加した帰り道、酔った勢いでATMから現金を引き出したものの、肝心のキャッシュカードを取り出すのを忘れてしまいました…。中国のATMは、日本のように自動でカードが出てくるのではなく、「取卡」ボタンを押さないといけません。カードは盗まれることなく機械に回収されていたものの、冷や汗ものでした。
犬も注意!
野良犬は見かけなくても…狂犬病には注意!

北京では野犬は少ないとはいえ、放し飼いの犬問題や郊外では野良犬に吠えられることもありました。2007年には中国で3,300件以上の狂犬病症例が報告され、世界的にも多かったので気をつけていました。今は対策が進んで都心部では症例がないとはいえ、むやみに犬に近づかないのが無難です。
物乞いにも注意!
可哀想…と思っても要注意!

北京の銀座と言われる大通り「王府井」などでは、手足のない人が物乞いをしている姿も目にしますが、後で知ったところによると、多くは犯罪組織による組織的な行為(假乞丐)とのこと。善意が悪用されるケースもあるので、冷静な対応が求められます。
おわりに
こうして並べてみるとなかなかハードな体験ばかり(涙)ですが、それでも私は北京を嫌いにはなれませんでした。嫌な人や出来事に遭遇するだけでなく、親切な人や大切な思い出も多かったからです。数々の失敗や経験は、今では外国に住むことの貴重な学びの機会だったと思っています。
これらの体験が、これから北京へ行く方の参考になれば幸いです。
現在の中国・北京は、監視カメラの増大でより安全になっていると現地に住む人達からは聞きますが、気を引き締めて、でも、楽しむことも忘れずに!
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