中国に興味があって行ってみたいけれど、なんとなく「怖いかな?」とか「やっぱり中国語できないとダメ?」と思い悩んでいるあなたの背中をえいっと押すきっかけになれば…。「中国語はそんなに得意ではないが興味だけはあった」アラサー日本人女性が、中国に出会い、七転八倒して過ごした北京での思い出を綴ります。
■「飛び込め北京」シリーズを読む

北京の生活に身体が慣れるまでの1〜2年は、私も体調不良によく見舞われていました。人生初の胃カメラや妊婦健診も、すべて北京で体験しました。
今回は、渡航初期の体調不良が一体どんなものだったのか、それをどうやって克服したのかについて、お話ししたいと思います。
どんな体調不良?
顔の下半分にニキビが多発!

渡航して最初に感じたのは、空気の乾燥です。オフィスには加湿器がいくつも設置されていました。当時は20代後半ということもあり、皮脂の分泌に加え、乾燥した空気、そして中国の硬水の水道水が重なり、肌が一気に荒れてしまいました。具体的には、顔の下半分にニキビ(痘痘)が多発。お年頃だったため、なかなか悩ましかったです。

繰り返す胃腸炎

渡航してほどなく知り合い、通い詰めていた台湾人経営の焼肉屋「焼肉人」でさまざまなお肉をご馳走になったり(当時、日本では禁止されていた鳥刺しなどをサービスしてくれて涙…)、別の顧客のコーヒーショップでは、行くたびにコーヒーを大量に振る舞われたりして、胃腸が非常に不安定に。1年くらいの間に6回ほど胃腸炎(胃肠炎)を繰り返すことになりました。

病院に行くと「おそらく胃腸炎ですが、心配なら胃カメラを飲みますか?」と言われ、北京病院で初めて胃カメラ(胃镜)を体験することに。
廊下で数人並に、何かを飲まされた後に個室に通され、早速胃カメラです。口からいれるタイプだったのですが、あまりの痛さにベッドの上でのたうち回ってしまいましたw。10年後、日本で胃カメラを受けた時にはそこまで苦痛ではなかったし、管の太さが全く違いました。個人的には胃カメラは日本のほうがオススメですw。 ちなみに、そんなに大変だったのに、診断は「軽い胃炎」でした。

ひどい結膜炎に感染!

またある時は、ひどい結膜炎(严重结膜炎)にかかり、目が腫れて顔が別人に(涙)!
痛いやらかゆいやらで、最初片目だけだったのがあっという間に両目が開かなくなりました。
日本ではそこまでひどい結膜炎にかかったことがなかったので、驚きました。当時ルームシェアしていた友人から感染したのですが、激しい感染力があるとのことで会社を1週間休業して感染を広げないようにせねばならず、完全に治まるまで1ヶ月を要しました。
間の悪いことに、その期間に証明写真を撮影せねばならず、ひどい顔で写りましたが、中国人スタッフから「顔が違いすぎて証明にならないね」と笑われましたw
どうやって克服した?
海外生活では身体が資本。このままではエンジョイできないので私なりに色々と工夫することにしました。
飲料水を変える

まずは水。北京の水は日本とは違い硬水です。基本的に飲料水も硬水ですが、顔を洗うのは水道水で問題ないとしても、飲み水は軟水にしたほうがいいのではないかと考えました。北京では、水道水は飲まず、ウォーターサーバーの水を飲みます。そこで当時、ピンクのタンクだったため「ピンクの水屋さん」と呼ばれていた日本人向けの宅配軟水に切り替えました。すると、2ヶ月ほどでニキビがきれいに治まってきました。不思議ですが本当の話です。ピンクの水屋さん、ありがとう。
養楽多を摂取

次に、ヤクルト(養楽多)です。北京にも進出しており、会社に中国人のヤクルトレディ(おばちゃん)が訪れていたので、買うことにしました。しばらく飲み続けると、胃腸の調子が整ってきたように感じました。

肉&コーヒーなど刺激物を控える

さらに、肉とコーヒー、激辛系の食べ物をあまり摂取しないようにも注意しました。「焼肉人」では肉よりもサイドメニューやお茶漬け(茶泡饭)を追加したり、コーヒーショップでは「実は胃が荒れててあまり飲めないので…」と正直に話すなどしました。(後に日本で受けた人間ドッグでピロリ菌陽性反応が出て、除去後はお肉もコーヒーも問題なくなりました…)
足を温める

また、渡航したばかりの頃は、東京時代のOLスタイルのまま、膝丈のスカートにストッキング、ヒールで過ごしていたのですが、街を歩いていると「寒くないのか?」とよく声をかけられました。当時の北京では、老若男女問わず“秋裤”と呼ばれる股引を履くのが当たり前で、私の服装はかなり浮いていたようです。それが徐々に気になって、私も自然と足を温めるようになり、スカートの下に厚めの靴下やレギンスを仕込んだり、家で足湯をするようになりました。

温かい飲み物を飲む

日本の飲食店では、席につくとすぐに氷の入った冷たい水が出てきますよね。しかし、中国ではこれはありえません。中国医学の考えが根付いているため、冷たい飲み物はお腹を冷やして体に良くないとされており、基本的にお湯か常温の水が出てきます。
そんな環境で暮らしているうちに、私もすっかり常温派に。
最終的には、コーラ(可乐)もビール(啤酒)も常温(常温的)でいけるようになりました(笑)。

そんなふうに右往左往しながらも、徐々に症状は落ち着き、身体も北京に慣れていきました。海外移住後は、水や食べ物の変化に加え、環境の違いも大きく影響します。今思えば、一種の適応障害のようなものだったのかもしれません。
中国が好きで自ら望んで来た私でさえそんな状態だったので、これから渡航される方も、ぜひいろいろと気をつけながら日々を過ごしていただければと思います。
北京の病院はどんなところ?
外資系クリニックが充実

私の場合、勤務先の会社が海外医療保険に加入していたため、診療はすべて無料で受けられました(歯科は対象外)。
海外医療保険対応の外資系クリニックは沢山ありますが、当時の会社は東直門にある香港系のクリニックを御用達にしていました。通常、中国のローカル病院では、受付で受付登録(挂号)をしたあと診察までに長時間待たされるのですが、外資系クリニックでは電話予約すればすぐに診てもらえるので、体調不良の時は本当に助かります。
内科を中心に幅広く診てくれる家庭医が在籍しており、さまざまな不調に対応してくれます。また、薬も院内で処方してもらえます(薬代は有料だったかも)。風邪症状の場合は風邪薬に+ビタミンCのタブレット(维生素C片)がついてきます。

また、私のように胃カメラなどの専用設備が病院にない場合には、専門の提携病院を紹介してくれます。
心配な言葉の問題については、日本人ドクターの場合は心配いりませんし、中国人や欧米人ドクターの場合も、日本語通訳がつくので安心です。というわけで旅行時も、海外医療保険に入っておくと万が一の時に安心ですよ。

薬局はあるの?
北京同仁堂など多数あり

日常的な不調、たとえば頭痛薬や解熱剤が欲しい時は、北京同仁堂などの薬局(药房)に行けば手に入ります(その他にも、益丰大药房や金象大药房などあり)。薬剤師に症状を伝えると、ショーケースの中から適切な薬を選んで、容量や服用方法を説明してくれます。
会社の近くの同仁堂では、薬剤師と会計係が分業されていました。薬剤師から処方内容が手書きで渡され、それを会計に持っていき、支払い後に薬剤師のところへ戻って薬を受け取る、という流れでした。こういった購入方法は日本とは違っていて新鮮でした。
私が妊娠した際も、必要な葉酸サプリメントを購入できました。症状や体質などを言えば適切な薬やサプリをおすすめしてくれるので、気軽に薬剤師さんに声を掛けるといいですよ。
中国医学はどう?
効果はそれぞれだが役立つ知恵も

外国人向けのクリニックでも、一部では漢方を処方してくれるところがあります。1回分ずつパウチされた液体漢方を日数分もらい(これが大荷物)、自宅で湯煎して飲むのですが、1回分の量が多くてなかなかキツイですw。

また、肩こりや四十肩などになった際は、中医系の病院で鍼を打ってもらうことも可能です。症状によっては、鍼がとても効く場合もあります。
ただし、個人的には中医は「効いたような気がする」…?くらいで、即効性はあまりないかな?というのが正直な感想です。それでも中国医学には、生活全般に気を配る“おばあちゃんの知恵袋”的な優しさがあり、私は好きです。
中国の病院では、内科的症状でも外科的問題でも、あるいは病人にも妊婦にも、とにかく「水をたくさん飲みなさい」“多喝水”と言われます(笑)。これも東洋医学的な考えがベースにあるかと思いますが、実際に代謝が良くなるため、理にかなっています。
中国では“多喝水”がすべてを解決すると言っても過言ではないのかもしれません!
おまけ:身体に優しいローカル水「農夫山泉」

ピンクの水屋さんには随分お世話になりましたが、後に、中国全土で売られているおなじみの水「農夫山泉」が比較的身体に優しい弱アルカリ性の水であることを知ります。それ以来、子どもが生まれてからも選べるならば「農夫山泉」一択でした。「農夫山泉」にしてから、特に困ったことはありませんでした。
ミネラルウォーター(矿泉水)のパッケージは素朴なテイストですが、中国茶のボトルは洗練されたシノワズリテイストで、中国の茶飲料にありがちな変な甘みも加えておらずスッキリ美味しいのでおすすめです。

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