【中国大接近】中国の大学生活、日本とどう違う?

中国大接近

中国語語学誌『聴く中国語』では毎月、中国の今を知る特集「中国大接近」を中国語と日本語で掲載しています。今回は2022年4月号の中国大接近の内容を日本語でご紹介します。

中国の大学も日本の大学もどちらも同じ高等教育機関ですが、様々な点で違いが極めて大きいのです。例えば、中国の大学の新学年は毎年9月に始まるところが、日本の大学では4月はじまりです。中国の大学は入学時に軍事訓練がありますが、日本にはありません。中国の大学は多くが公立の総合大学ですが、日本は私立大学のほうが多いし、中国にあまりない女子大学もあります。中国の大学の学費は年間5,000~8,000元(約9~15万円)と比較的安く、普通のサラリーマンの給料でも負担可能ですが、日本の大学の学費は年間50万円から数百万円と、一般家庭にとってははした金とは言い難い額です。これら以外にも、中国の大学生のキャンパスライフは一体日本とどう違うのか紹介していきます。

入学後1ヶ月は男女ともに軍事訓練に参加するのが通例だ
謎に包まれた中国の大学生活を覗いてみよう

学食の違い

日本の一部の大学では「生協」が学生に飲食を提供していますが、中国の大学にはそのような組織は存在せず、各大学がそれぞれ学食を運営し食堂の数も多く、スタイルもバリエーションに富み、値段もとても安いです。全国各地の学生の好みに配慮して、大体どの大学にも四川料理とムスリム食堂があり、大学ごとにそれぞれ看板食堂や看板メニューもあります。

安くてボリューム満点の学食でおなかいっぱいになれる

トップクラスの有名学府・清華大学は、校内に16の食堂があり、どの食堂も2階以上にあります。「紫荊園」の蓮の葉粥、米線(米粉の汁麺)、麻辣香鍋、「桃李園」の鉄板焼、ラーメン、串カツ、「清芬園」の北京ダック、壺煮込みスープ、麻辣湯、「聴濤園」の中国式油そば、肉と野菜の角切り乗せ激辛麺、中国式ハンバーガーなどが人気。「5キロ(10斤)太る大学」と呼ばれている四川大学では、3つのキャンパスの食堂で、麻辣ザリガニ、アサリの旨辛炒め、汁なしスパイシーチキン鍋、そして香辛料と醤油で煮込んだ「滷菜」が選び放題です。辛いものが苦手な人でも心配いりません。ニンニク味や、「魚香味(ひき肉の豆板醤と甘酢炒め)」の料理や仙草ゼリー、キンモクセイゼリーなどのデザートも数多く取り揃えられています。

清華大学のロゴ入りの食器もカラフルでかわいい

旨い・安いがいい大学食堂の真骨頂です。上海同済大学学苑1楼のタレ焼きとんかつは、テレビデビューもした逸品ですが、2.5元(約47円)という激安価格は今も健在。西安交通大学の食堂も安さで有名で、まぜ刀削麺1杯がなんと4元(約76円)、他にも1元(約19円)前後のおかずが10種類以上もあります。

また、特色ある食堂で勝負している大学も。武漢大学南京航空航天大学学食を高級レストランのようにしています。また北京語言大学では、世界各地から来る学生に配慮して、フランス料理やイタリア料理、韓国料理、日本料理、東南アジア料理、ハラルフードなど多種多様なメニューを提供北京理工大学の第2食堂はなんとオンライン注文と出前サービスを行っています。

武漢大学の学食はソファ席でゆったり食事を楽しめそう
宇宙や飛行機などのイメージで装飾された南京航空航天大学の学食

寮の違い

中国の大学では一般的に、ほぼ全学生に部屋を割り当ててくれます。ただ、近年は大学の募集枠拡大が続き、どの大学も3~6万人の学部生を抱えており、学生寮の問題が大きな悩みになっています。特に、歴史があり、キャンパス内に寮の面積があまり取れず、設備も老朽化している大学の寮は、居住環境に多かれ少なかれ「辛さ」があります。例えば北京の三環路付近に位置する北京師範大学は、学部生寮はすべて6人部屋で、トイレと洗面所は共用。寮内では調理禁止。洗濯はコインランドリーを利用するか、共用の洗面所で手洗いするしかありません。シャワーは共用シャワー室で浴びます。

その一方、新建設された寮は広く快適で、学部生でも4人部屋や2人部屋に居住でき、中にはトイレとシャワーブースが付属している部屋もある。もちろん大学の場所や資金力によるところ。居住環境のほか、大学によっては寮の門限があり、11時前に帰寮するよう決められていたり、夜12時には消灯・ネット回線切断などの規定があるところも。特筆すべきは、寮費がかなり安いこと。年間1,000元(約19,000円)ほどなので、条件が良くなくても文句は言えませんね。

ハルピン工業大学深セン校区の寮は明るい色調で快適そう

勉強の違い

中国の大学の図書館の開館時間はかなり長く、閲覧室は朝7時や8時から夜10時頃まで開いているのが普通です。座席確保のために朝一で図書館に行って席取りをする学生も多く、座席予約システムを開発している図書館も。図書館だけでなく、各講義棟の教室でも机に向かって自習している学生を多く見かけます。これは、中国では学内で生活する学生が多いことも関係しているでしょう。

明るく開放的で勉強が捗りそうな北京大学の図書館

サークルの違い

日本同様、中国の大学にも様々なサークルがあります。例えば、中国人民大学には漢服サークル、手話サークル、書道研究会、SF愛好会、天文サークル「星月空」、「臨界」アニメ漫画協会、演芸サークル、バレーボール協会など100種類以上のサークルがあります。サークル以外にも、大学および所属の院系(学部)にはそれぞれ学生会があり、文芸・スポーツ活動やコンテスト、他校との交流イベントを企画しています。学生会で何らかの役職に就いていた場合は、それを学生時代の経験として履歴書に書く学生が多いものです。

中国人民大学の漢服サークル「漢服社」

最後に

中国の大学生はキャンパスから一歩も出なくても、授業に出て、自習し、食事をし、娯楽を楽しみ、眠る、という充実した1日を過ごすことができます。

コロナ禍が去ったら、中国の大学を訪れて散策してみてはいかがでしょうか。

(中国元1元=19円※2023年4月現在)

今回の内容は『聴く中国語』2022年4月号に掲載されています。さらにチェックしてみたい方は、ぜひ『聴く中国語』2022年4月号をご覧ください。

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