『繁花』ゆかりの地をめぐる上海散歩

中国大接近

黄河路

上海市黄浦区の「黄河路」は『繁花』に最もよく登場する場所だ。

1980~1990年代にかけて、中国の飲食業は国営から民営に転換し、黄河路もそのブームに乗ってグルメストリートとして発展した。

ドラマでは、美貌と知性そして度胸を兼ね備えた「李李」が、当時高級飯店が立ち並んでいて、競争が極めて激しい黄河路で店を構え「至真園」と命名し、黄河路最も繁盛な店にした。

「至真園」のモデルとなったのは、黄河路50号にある「苔聖園」という名の店だ。

上海料理と一部の広東料理を提供している。

南京路

黄河路を抜けると南京路だ。そこからさらに東に行くと、かの有名な南京路の歩行者天国に出る。南京路も『繁花』に大々的に登場するスポットだ。

国際飯店は1934年に建てられた、1930-1940年代の上海のランドマークの一つで、かつては「東洋一の摩天楼」と讃えられ、上海という都市の座標軸にもなっている。ここに宿泊したことのある有名人は数えきれない。現在は全国重点文物保護単位に指定されている。

外灘(バンド)

南京東路に沿ってさらに東に進むと、道の突き当りには、外灘(バンド)と「上海の母なる川」黄浦江が広がる。

和平饭店

黄浦江のほとりに鎮座する和平飯店もまた、『繁花』で最も重要なロケ地の一つだ。

90年代初頭に「世界で最も有名なホテル」の一つに認定された和平飯店は、南楼と北楼の2つの歴史的建造物から成っており、南楼には建築当時まだ珍しかったエレベーターと屋上庭園があった。

ドラマでは、阿宝が和平飯店の高級英国式スイートルームを借り上げて自身のオフィスとし、株式市場と対外貿易の分野で大活躍して威勢を誇示する様子が描かれた。

和平飯店北楼のサッスーンハウスの前身は、1929年落成のキャセイホテル(華懋飯店)で、
当時世界最先端の空調システムと客室電話を備え、中国・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・日本・インドの9カ国それぞれの様式のスイートルームが用意されていた。和平飯店に名称変更したのは1956年のことだった。

2023和平飯店南楼の前身は、1906年落成のパレス・ホテルビル(匯中飯店大楼)で、
中国最初のエレベーターが設置されていた。
1965年に和平飯店と合併し、2007年にはスウォッチ・アート・ピース・ホテルと名称変更した。

進賢路周辺

『繁花』の中で起こる様々なエピソードは、進賢路周辺に集中している。

例えばドラマの登場人物「玲子」が経営する小さな居酒屋「夜東京」の所在地も進賢路だ。

進賢路は1930年代のオールド上海の雰囲気が漂っていて、やや寂れているものの、蘭心餐庁の紅焼肉、「海金滋」のネギ乗せスペアリブ、「茂隆」のウマゴヤシの白酒炒めなど、評判の上海料理店がいくつも潜んでいる。

名物料理

『繁花』で人気になったグルメも取り上げておくべきだろう。

例えば雲南南路の老舗「鮮得来」のスペアリブと餅炒め。クリスピーで甘酸っぱいこの料理は、ドラマの中で、パワフルな汪小姐の大好物として登場した。

雲南路には他にも、「大壺春」の焼き小籠包、「沈大成」のペストリー、「小紹興」の蒸し鶏、「洪長興」のムスリム料理など、上海の老舗グルメがたくさんある。

宝総と李李がよく訪れる羊しゃぶしゃぶの店「新蘭居」は、このエリアにある「新梅居」がモデルだとされている。

また、ドラマには、揚げパン、焼餅(シャオピン)、もち米の揚げ餅、豆腐よう、漬物、粥、「川沙」の鶏の足、「七宝」の魚の粕漬、そして道端で売っているかき揚げ風ドーナツなど、上海人の愛する朝食メニューが数多く登場する。

そこには庶民の生活感あふれる日常、そして食べ物を通じた人と人とをつなぐ温かい思いが描かれている。

雑誌掲載

『聴く中国語』2024年5月号では「『繁花』ゆかりの地をめぐる上海散歩」を大特集。

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