『聴く中国語』2023年1月号より、現在上海外国語大学で学ぶ水上華さんのコラム「私の中国留学記」を連載しています。今回は第36回「世界を席巻するデザイナートイ――POPMARTとLABUBUの魅力」。
日本と中国のハーフ。日本で生まれ育ち高校三年生の時に中国への留学を決め中国の大学に入学するも、新型コロナウイルスの影響で一年生の間は中国への渡航が叶わず日本でオンライン授業を受けた。
最近、日本はもちろん世界中で話題のキャラクターといえば「LABUBU(ラブブ)」だろう。大きな耳にいたずらっぽい表情が特徴的で、一度目にすると忘れられない存在感がある。実はこのLABUBU、中国発のデザイナートイブランド「POPMART(ポップマート)」の商品だ。
中国に留学して以来、街のショッピングモールや駅直結の複合施設を歩けば、必ずと言っていいほどPOPMARTのショップや自動販売機を目にする。
POPMART最大の魅力は「盲盒(mánghé)=ブラインドボックス」という販売形式にある。日本の「ガチャガチャ」に似ているが、デザイン性が高く、大人も本気で集めたくなる完成度だ。箱を開けるまで中身が分からない仕組みは、ただ“買う”だけでは味わえない期待と緊張を生み出す。人気シリーズでは12種類前後のキャラクターが用意され、さらに超レアな「シークレット」が含まれることもある。SNSでは「開封動画」が盛んに投稿され、どのキャラクターを引き当てたかを共有する文化が広がっている。
私の友人もこの魅力にすっかり夢中で、授業後によくショッピングモールのPOPMARTへ誘われた。欲しいキャラクターを想像しながら箱を手に取り、開封の瞬間を一緒にドキドキしながら待つ――その時間そのものが楽しい。友人が狙ったキャラを引き当てられず、悔しそうに次の箱へ手を伸ばす姿は、見ているこちらまでワクワクさせられる。
キャラクターの多彩さもPOPMARTの大きな魅力だ。人気ナンバーワンはもちろん「LABUBU」。香港出身のアーティスト、Kasing Lung氏による「The Monsters」シリーズの一員で、発売日には店頭に行列ができるほど世界各地でファンが急増している。
二番手はブランドの顔とも言える「Molly(モリー)」。金髪に大きな瞳を持つ少女のキャラクターで、長年にわたりシリーズが展開されている。三番手は雲のようなふわふわの髪と幻想的な世界観が魅力の「DIMOO(ディムー)」。四番手にはストリートファッションを思わせるダークなデザインが特徴の「Skullpanda(スカルパンダ)」が続く。
これらのキャラクターは単なる“かわいいフィギュア”にとどまらない。それぞれ独自の物語性とアート性を備え、POPMARTは外部アーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。たとえばタイのアーティストによる「CRYBABY(クライベイビー)」シリーズは、涙を流す少女の姿が「悲しみと幸せ」の象徴として人気を集めている。商業とアートの絶妙なバランスが、多彩なコラボ作品を生み出しているのだ。
POPMARTの店舗は今や世界各地に拡大している。日本でも東京・大阪・福岡に直営店があり、韓国、タイ、イギリス、アメリカなどにも進出。各国限定デザインが登場する点もコレクター心をくすぐる。旅行のついでに現地限定フィギュアを探すのは、世界中のファンにとって大きな楽しみとなっている。 留学先で出会った友人たちもPOPMARTのファンが多く、日本から遊びに来た友人も必ず何かを買って帰る。そんな姿を見ているうちに、気づけば私自身も「一つくらい買ってみたい」と思うようになった。上海の南京東路にも大型店舗があるので、機会があればぜひ立ち寄ってみてほしい。
本コラムは『聴く中国語』2025年12月号に掲載しております。
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