インタビュー!サンドアーティスト 蔡暁華さん

インタビュー

中国語語学誌『聴く中国語』は毎月、日本で活躍している中国の有名人や日中友好に貢献している日本人にインタビューをしています。

今回のインタビュー相手は、在日サンドアーティストの蔡暁華さんです。多くの日中交流にまつわる物語を砂絵作品で創作しています。一緒に面白い話を聞いてみましょう。

――こんにちは!簡単に自己紹介をお願いできますか?

こんにちは!貴刊のインタビューを受けることになりとても嬉しいです。簡単に自己紹介しますね。

私は蔡暁華と申します。遼寧省大連市出身です。大学では大連大学美術学部教育専攻でした。大学卒業後、教育現場で2年働き、その後日本に留学しました。2005年、私は愛知県立芸術大学大学院デザイン学部に合格し、平面デザイン専攻に入りました。修士課程を修了した後、主人について東京に来て仕事をしました。2015年にネットで砂絵を学び始め、その後帰国して体系的に砂絵の学習を進めました。同時に中国最先端の砂絵理念と技法を日本にもち帰り、独自のブランド「暁華砂絵」を創立しました。

――どのようにして砂絵を好きになったのですか。

2015年、微信のモーメンツで誰かが砂絵をアップしているのを偶然見た瞬間に、引きつけられました。前にも砂絵制作とその作品を見たことはあったのですが、あのように精巧で美しいものは初めて見ました。中国砂絵の名匠、陳敬平先生の作品だと知ってから、弟子入りして学びたいという思いが芽生えたのです。

私は美術専攻でしたので、イラストやデザインについてはある程度勉強していました。砂絵は私の学んだことを活かせる気がして、より興味が深まりました。私は自分で砂絵台を買い、動画を見ながら勉強しました。

2016年、里帰りのため帰国した際、1カ月の休暇を利用して陳敬平先生を尋ね、砂絵の技術からデザインの流れと理念などの知識を系統的に学びました。日本に戻ると私は再び大量に練習を重ね、表現力を高めました。

砂絵作品『国色天香』

――砂絵独特の魅力とはどのようなものですか?

砂絵の最も独特な魅力は画面の流動性にあります。砂絵は音、光、電気など様々な表現手段を合わせ用いて、変化に富んだ細密な画面を通じて、モンタージュ形式で、簡潔で力強さがありながら意味深く感動的な物語を描きます。観客は三次元のヴィジュアルを目にしながら、なかで夢の世界のような没入感を感じ、それに共感するのです。もちろん砂絵が人を最も感動させるのはその独創性です。どのようにうまく音楽のリズムの変化に様々な画面を組み合わせるか、それは魔術師のように観客に驚きと喜びをもたらします。これが砂絵創作の最も魅力的な所です。

砂絵の演出

――どのように砂絵作品を構想し、創作し、見せるのかお話いただけますか?

砂絵の見せ方というのは、言ってみれば映画のようなものです。作者はまず脚本家であり、シナリオ(文案や音楽)は作品の魂です。私個人は感情的色彩が鮮明で物語性が強いシナリオが好きです。シナリオが決まると、私は頭の中でいくつのシーンと画面が必要か見積ります。草稿が定まっても、まだ中景、遠景、近景を考え、叙事の要素をデザインしなければなりません。時には複雑なシーンのカット数(ひとつの情景を表すのに必要な画面)は20枚にも及び、時にはもっと多くなります。すべてのデザインが完成すると、具体的な表現手法と細部を考えます。

砂絵ミュージックビデオ『慌張的鶴(慌てん坊のコウノトリ)』

――どのようなシーンが砂絵に合いますか? 砂絵の動画と実際の現場でのパフォーマンスとでは何か違う所がありますか?

砂絵の表現形式というのは実は非常に生き生きとしており多様です。どのようなシーンでも必要に応じて創作ができます。

動画で見せるなら、長い時間をかけて細かい絵にしても良いし、美しい彩色砂を使うのもよいでしょう。録画するときには画面の精緻な美しさを保ちながら、後で音楽を合わせて編集します。6〜8分でひとつの物語が語れます。現場で見せる場合は、時間の制限があるので、規定の時間内にいくつもの場面転換を完成させなければなりません。これは画面に美しさと同時にすばやい完成も求められるので、現場の演出には中国の伝統絵画によく見られる大写意(東洋画の画法の一つ)を用いてすばやく情景を見せる方法が適しています。

砂絵動画作品『嫦娥奔月』

――砂絵という新たな芸術表現形式をどのように評価されていますか?

サンドアートは確かに新興の芸術表現です。一つの絵画表現形式であるだけでなく、音楽や明かり等の要素とも結びついた総合芸術なのです。表現者の素質を更に総合的に体現できる、チャレンジングな芸術です。しかも瞬間的にからりと変化するという高度な鑑賞性が備わっており、現代人の芸術鑑賞の要求にかなり合致しています。

本質的には、砂絵もまた伝統絵画の実用的な商業美術化の産物です。砂絵は様々なテーマで婚礼や文芸の夕べ、懇親会、新品発表会、ニュース発表会、企業の年次会、開幕閉幕式のパフォーマンス、文化祭などに向けて、創意あふれる表現ができます。ネット環境により全世界の文化芸術が一体化して発展していけば、更に多くのサンドアーティストがこの新興の芸術形式を創造し、ふくらませていくでしょう。

日中友好会館にて砂絵の演出をするようす

――この芸術形式を日本に持ち込んだときの初心はどのようなものでしたか?

私の考え方はとても簡単で、砂というこの新たな媒体と新たな手法を通じて日中の間のすばらしい物語を伝え、日中民間交流の促進に貢献し、架け橋になりたいと思ったのです。

――最後に『聴く中国語』の読者に一言お願いできますか?

『聴く中国語』の読者の皆さん、こんにちは!このような機会をいただき私の物語をお話できて大変光栄です。私はたとえば『隠元渡日』、『鯉魚風箏的故事』のような多くの日中文化交流をテーマにした砂絵作品を創っています。また私のYouTubeチャンネルでも発表しています。ぜひ私の名前「蔡暁華」で検索して私の作品を見ていただければと思います。これらの作品が皆さんの心に届き、そして私の作品と砂絵という芸術形式を好きになっていただければ嬉しいです。今年はまさしく「日中国交正常化50周年」の年、心より日中両国の何代にもわたる平和友好をお祝い申し上げます!また『聴く中国語』のますますのご発展をお祈り致します。機会があれば『聴く中国語』の読者の皆さんにお目にかかり、お友達になりたいと思います!

砂絵動画作品『隠元渡日』
プロフィール:蔡 暁華(サイ ショウカ)。サンドアーティスト&パフォーマー、デザイナー、「暁華砂絵工作室」クリエイター。中国・大連出身。2000年大連大学美術学院美術教育専門卒業。2007年愛知県立芸術大学大学院グラフィックデザイン専攻卒業。全日本中国美術家協会会員。日本華人美術家協会理事。日中水墨画協会常務理事。東京、神奈川県でサンドアート教室開催。絵本や本の編集のほか、個展、グループ展多数。

今回のインタビュー内容は月刊中国語学習誌『聴く中国語』2022年10月号に掲載されています。さらにチェックしてみたい方は、ぜひ『聴く中国語』2022年10月号をご覧ください。

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