超訳・詩の中に広がるにゃんだフルワールド(1)魂の叫び:「猫……猫をください!」

コラム

中国語語学誌『聴く中国語』では猫と詩人をテーマに昔の漢詩をご紹介しています。

今回は声優で翻訳家である白伊先生が執筆された、魂の叫び:「猫……猫をください!というコラムをご紹介します。

一万年以上のもの歳月を人類と共に歩んできたとされている小さき生物、猫。

 バステト女神の化身として崇められることもあれば、魔女の手下として迫害されることもありました。

 その数奇な運命に惹かれたか、ミステリアスな性格に魅入られたのか、しなやかで優雅な姿に見惚れたか、古くから猫を題材とした文学作品は尽きず、それは中国の詩人たちも例外ではありませんでした。

 さあ、詩人の気持ちを推し量り、共に詩の中の猫を愛でましょう!

乞猫(猫をください!)/宋·黄庭堅作

【现代訳】

鼠辈太可恨,欺负我家猫过世,一到晚上就叮叮咣咣倒腾瓶瓶罐罐,害得我睡不着觉。

听说附近人家的猫快要生小猫了,那我可迫不及待了。

买好鱼用杨柳穿上,拎在手上去聘猫!

これはにゃんの言葉?

狸奴 lí nú

「狸」は古代中国でネコ科動物を指す総称で、そのうち人々は親愛の情を込めて猫を「狸奴」と呼ぶようになった。かの有名な中国原産猫「チャイニーズ・リー・ファ」の品種名にも、しっかりと「狸」が入ってるよ~

衔蝉 xián chán

猫の別称。蝉を銜えてくる行動は、猫飼いなら馴染みはあるよね?「プレゼントありがと……(ジジジッ)ぎゃあぁぁ‼まだ生きてる、やめて――‼」

「聘猫」のしきたり――安売りしないからにゃ!

 黄庭堅が生きていた宋は猫好きブームが盛んな時代で、「聘猫 pìn māo」――すなわち猫を招聘――するにあたって、礼節をもって手順を踏む必要があった。

 まず、猫を訪ねるに相応しい吉日を選ぶ。

 次に、猫をお招きする「聘礼(贈り物)」を用意する。家猫なら主人に塩や砂糖等、野良猫なら母猫にお魚を用意する。

 そして子猫を大切にすると約束し、契約書を取り交わすこともある。

 家に帰ったら、「灶王爷(家の守り神)zào wáng yé」に猫を迎えたことを報告する。

 まるでお嫁さんを迎え入れるようだと思わない?それだけ猫が大切にされていたってことだよ。

 現代になっても「聘猫」の習慣は多くの地区に残っている。生物を大切にし、飼ったら最後まで責任を持つ心構えはとても重要ですね。

今回紹介した七海先生のコラムは『聴く中国語』2024年4月号に掲載しております。

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