インタビュー!人気ユーチューバー・ヤンチャン(楊小渓)さん

インタビュー

中国語語学誌『聴く中国語』は毎月、日本で活躍している中国の有名人や日中友好に貢献している日本人にインタビューをしています。

今回のインタビュー相手は人気ユーチューバーのヤンチャン(楊小渓)さんです。日本に来てから始めたYouTubeチャンネルのことや、新しく出版された書籍『中国大陸大全』の創作エピソードなど、たっぷりとお話ししていただきました。

――ヤンチャンこんにちは! 読者の皆さんにご挨拶いただけますか?

読者の皆さん、こんにちは!小渓です!

――私たちは小渓さんがすでにYouTubeで十数万のフォロワーがいる大ユーチューバーであることは知っていますが、それでもまだまだ知らないことがあります。どのようなご縁で日本語の勉強を始められ、どのようなきっかけで来日する事になったのでしょうか?

高校生の時に、大学に入ったら外国語をひとつ習得したいという特別な思いを抱きました。当時は特に日本語と決めていたわけではないのですが、受験のときに、行きたい大学が四川省で新入生を募集していて、ちょうど日本語と韓国語の専攻があったんです。そこで私は日本語を選びました。そうして日本語の勉強を始めることになりました。

 私たちの学校は2+2プロジェクト、つまり国内で2年本科を学んでから編入生として日本に留学するというプロジェクトを行っていました。それで私は交換留学生として日本に来ました。日本での本科を終えた後、もう少し勉強を続けたいと思い、日本の大学院に出願して2年間大学院修士で学びました。

母校の上海海洋大学

――卒業後、なぜ日本に残り現在の仕事を始められたのですか?

日本に来たばかりのとき、多くの日本の友人に中国人からすれば失礼だと感じる質問をされました。たとえば「家のテレビは白黒なの?」、「中国人も携帯を持ってるの?」といった質問です。私は、彼らは中国人のことをよく知らないのだなと思いました。中国に対する日本人の印象は、30年前、40年前のままなのだと。そこで本当の中国を日本に伝えたいという思いが芽生えたんです。

それから竹内亮監督との共作も含めてずっと中国に日本の観光やグルメ、生活を紹介していました。中国人はとても関心を持ってました。ですが、逆に日本のネットやテレビといった主流メディアでは中国の現在の生活や本当の中国を報道しておらず、そのような情報はとても少ないことに気がつき、2019年末からはコロナの影響もあって本業も暇になったので、ずっとやりたかったことをやってみようと思い立ち、この事業を始めたんです。

一橋大学大学院入学式にて

――新たに出された書籍や以前制作された中国の各省を紹介する映像から、私たちはこれまで知る事のなかった中国の知識をたくさん得られました。私個人も、ひとりの中国人としてとても得るものが多かったです。各省の人々に取材するときにも、カルチャーショックを受けたことはありましたか? 特に認識がひっくり返されたような点があればお話いただけますか?

ありました! 実は各省の自治区出身のゲストとおしゃべりするときは毎回、強い衝撃を受けました。その時、中国は本当に広いんだと思い知ったと言えます。それまで当たり前だと思っていたことことが、他の地方出身の人から見れば決して当たり前ではないのだということが分かったのですから。

 たとえば、ゲストと話していて気づいたのですが、中国の方言の違いは私が考えるよりもずっと大きいです。私のような四川省出身者は、雲貴川西南の三省であれば基本的には方言も通じます。ただ浙江省や福建省出身の友達は、家では両親と普通話でコミュニケーションしていたと言うんです。「なぜですか? ご両親は別々の省出身なのですか?」と聞いてみました。話によるとそうではなく、両親は共に浙江人ですが、父親と母親は出身地が違うので、彼らの方言はお互いに通じないのだそうです。それで家では普通話を話していたのですね。その人自身も方言はあまり話せないようでした。福建省や浙江省、広西チワン族自治区の人は大体そんな状況です。これは本当に不思議でした。四川人には理解できないことです。

 また東北の人と話したときには、冬になると体育の授業でスケートを教えると言ってました。運動場に水をまいて凍らせて、その上を滑るんだそうです。私はこれまで一度も氷の上を滑ったことはないんです。同じ中国でもすごい違いだなあって思いました。

中国で活躍する竹内亮監督と『食遊食記』の撮影風景

――飲食にも違いは大きいでしょう。何か特に驚かれたことはありますか?

たとえばよく広東人は何でも食べる、四つ足のものは机以外、飛ぶものは飛行機以外すべて食べるなどと言います。ですが私は彼らと話してから、すべての広東人が何でも食べるわけではない、ごく一部の人だけなのだということが分かりました。それから多くの日本人は、中国人は皆犬の肉を食べると思っているみたいですが、それも違いますよ。朝鮮族の一部の人は犬の肉を食材にしていますが、絶対的多数の人は食べたことがありません。そういうことも面白いと感じました。

――この本の創作過程を教えていただけますか? 本を執筆する際、何か興味深いことや印象深いことがありましたか?

ありました。これは私が初めて、人生で本当に初めて書いた本であり、日本で出版された書籍だったので、想像したこともなかった困難がたくさんありました。まず、私にとって日本語が母国語ではありませんから、書き終わった原稿はまず日本人の編集者に渡し、彼がうまく内容の順序よく並べ替えてくれて、また分かりやすく自然な日本語に直してくれました。それから校正の作業では、日本の出版社が非常に非常に厳密であることを知りました。この本の一字一句を校正するのです。日本語の間違いだけでなく、誤字脱字、言葉の真偽性まで正します。

印象深かったのは、内モンゴル自治区について書いたときのことです。私は内モンゴルの最東端から最西端まで列車で4日かかると書いたのですが、ここに印がつけられていました。校正の方から、自分たちではこれを実証できないので証明するものを提供するように求められました。そこで私は中国の列車チケット販売アプリを開いて最東端の駅から最西端の駅を入力してチケットを画面に出し、乗り換えも含めて三泊四日、このスクリーンショットを出版社に送りようやくOKとなりました。

著書の『中国大陸大全』が好評発売中

――インフルエンサーになられてから、中国語と中国が好きな更に多くの日本人と知り合われましたよね。その過程で忘れ難いこと、特に心を動かされたことはありましたか?

とてもたくさんあります。YouTubeチャンネルを始めてからは、本当に多くのフォロワーから伝言や激励の評論をもらいました。皆私の動画を見て中国に行きたくなったとか、中国語を勉強したいという気持ちが芽生えたと言ってくださるんです。

 印象が最も強かったのはインスタグラムで個人メッセージをくれたある女の子です。彼女は高校3年生で、以前は中国に偏見を持っていましたが私の動画を見てだんだん中国が好きになり、中国語を学ぶようになり、そしてついに今年、中国に留学することを決心したそうで、すでに上海への留学が確定したとのことでした。それで私の動画が自分を変えたということを私に伝えるためにメッセージをくれたのです。これは本当に、本当に嬉しいことでした。

 また特に心を動かされたのが、佐賀県に運転免許証をとりにいったときのことです。二十何歳かの女性の先生が私にどこ出身かと聞いたので、四川人だと答えると、とても喜んでくれました。先生は『陳情令』というドラマがとても好きで、(主演の)肖戦が好きなので、私が四川人と知って肖戦が四川省の隣の重慶市出身ということでめちゃくちゃテンションがあがったわけです。ひとしきり盛り上がったので、最近は中国のドラマや中国文化が日本の若い人にある程度影響を及ぼしているのだなと感じました。これはとてもよい傾向だと思います。ですから私の動画がより多くの日本人に本当の中国の情報を提供し、より多くの日本人が中国を好きになったらいいなと思っています。

チャンネル登録者数10万人を突破した際にYou Tubeから頂いた銀の盾

――現在、中国文化の伝達者としての他に、中国語教育にも従事しておられますね。来年には中国語学習に関する著書の出版も予定されているそうですが、その新しい本について少しだけ教えていただくことはできますか?

実は日本に来てから、ずっと中国語教師をしていました。塾にしろ個人的に一対一で教えるにしろ、私が教えた日本人学生や私が知り合った中国語を学ぶ日本人には、ある大きな共通点がありました。それは作文は得意ですが話せない、というものです。中国人もそうですが、試験は得意なのですね。特に中国人と日本人は相手国の語学を学ぶとき、漢字という優位性があるので、簡単に文章を読むことができ、簡単にHSKや日本語能力検定に通ることができます。ですが話すとなると、困難や問題に遭遇するのです。

 ですから新しい本は、学習者が自然で流暢に中国語が話せるようになる手助けする一冊にしました。この本の構成は、ある中国人が実際に日本人と話している場面を想定し、故郷はどこですか、故郷のどんなところが面白いですか、好きな食べ物は何ですか、ペットは飼っていますか、どこに住んでいますか、といった質問を中国人の方からなげかけてもらい、実際の会話の中に出てきた回答内容を、私が百字程度の短文にするのです。短いですが会話をスムーズにこなせるようになる短い文章です。読者はそれらの短文を覚えて、その中にあるキーワードを生活で使う言葉に置き換えれば、様々な場面に応用できます。

You Tube撮影風景

――今後YouTubeチャンネルや出版以外に何かお仕事の計画はありますか?

コロナ後には、より多くの日本人に中国に実際に行って見てもらったり実際に中国人と交流してもらいたいと思っています。ですので今は特にオフライン活動をしたいと考えています。たとえば東京に日中交流会か中国語学習会の組織を作り、条件があえばぜひ、日本の学生や若者を連れて中国に旅行するプロジェクトを立ち上げたいんです。中国に行って、中国の学生や中国の企業を尋ねて交流したり見学したり、これが私がこれからぜひぜひやってみたいことです。

――お仕事の他に何か趣味がありますか?何をするのがお好きですか?

私は旅行が大好きです。行ったことのない場所に行ったり、大自然の景色を見るのが好きなんです。だから暇な時間さえあれば東京の近郊へ出かけ、環境を変えて一日二日過ごします。私の仕事はどこでもできますからね、場所を変えて仕事をして、好きなときに観光して、動画を撮る、そんな感じですね。

屋外での撮影風景

――最後に、『聴く中国語』の読者に一言、膨大な中国語学習の愛好家やあなたのフォロワーに激励の言葉をいただけますか。

皆さんの変わらぬご支持に感謝致します。ひとりの日本語学習者として、日本語を勉強してもう十年になりました。私が最も実感しているのは、実は日本語と中国語にはとても多くの相似点があるということです。私たち中国人や日本人からすれば、相手国の言語は非常に簡単です。ですが多くの方は中国語を習得するのは難しいと思われているでしょう。実は最も難しいのが心理的な壁です。その壁を勇気を持って突き破り、周りの中国人と交流して友達になれば、中国語は驚くほど早く進歩します。まずは皆さんが自分の中の心理的障壁を突破できますように、そして中国語がさらに一段階上達することを願っています。

――ヤンチャンさん、インタビューを受けていただき改めて感謝申し上げます。動画や新しい本を楽しみにしております。そして新しい本がたくさん売れますように!

ヤンチャン:本名は楊小溪。中国四川省出身。2011年交換留学で来日、一橋大学大学院を修了。2017年から中国のSNSで日本の情報を発信し、中国人気ネット番組『東遊食記』、『和飯情報局』のレギュラーMCを担当。2019年からYouTubeで日本向けに中国語や中国文化などのコンテンツを配信。中国のSNSとYouTubeのフォロワーは合計30万人超、日本でも16万人を獲得し上昇中。NHK『テレビで中国語』、『漢字ふむふむ』など多数のテレビ番組にも出演。

今回のインタビュー内容は『聴く中国語』2023年1月号に掲載されています。さらにチェックしてみたい方は、ぜひ『聴く中国語』2023年1月号をご覧ください。

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