全国通訳案内士への道~いかにこの不可解な試験沼にはまったか~③「一次試験体験記」

中国語学習

初めまして。最近まで全国通訳案内士(以下、通訳案内士とする)という国家資格に6年かけて挑んだ五弦(名前の由来はコラムの最終回で種明かしします)です。私は2010年代に中国で勤務していた、現在は日本在住の40代日本人女性です。こちらのコラムでは「通訳案內士」に興味を持ってもらい受験生がもっと増加するといいな、という思いを込め「通訳案內士」に関する様々なテーマで書かせていただきます。

免除は最大限活用を!

 
 今回は一次試験の話をします。課せられる科目は次の5科目です。

 ①語学 ②日本地理 ③日本歴史 ④一般常識 ⑤通訳案内の実務 

ただし、中国語受験の場合以下の2つを保有していると①語学が免除になります

・HSK6級

・中国語検定1級

その他の科目は以下の保有で免除になります。

②日本地理・・・総合/国内旅行業務取扱管理者、国内/一般旅行業務取扱主任者

③日本歴史・・・歴史能力検定2級以上、センター「日本史B」60点以上(5年以内に受験)


 私はHSK6級を取得済みだったため、語学試験は受けたことがありません。過去問を見ている限り、日本事象について中国語で説明する問題があり2次試験対策と直結しています。しかし、他の4科目の学習に時間がとられるので免除できるものはできるだけ、というより最大限活用したほうがいいというのが私見です。

 

 私が振り出しに戻って勉強するなら、間違いなくこのルートをとります。

1.HSK6級取得 ⇒ 2.国内旅行業務取扱管理者(9月受験)⇒ 3.歴史能力検定2級(11月受験)⇒ 4.通訳案内士試験の④、⑤のみ受験(翌年8月)

最初から以上のように計画的に1~3までを取得した状態で試験に臨む。これが遠回りなようで一番近道で、1次試験一発合格も夢ではありません!年度によりますが2と3の試験は通訳案内士ほど難しくないと思います。しかも2の試験は⑤にも少し内容がかぶっています。

2023年度の過去問はこちらから見ることができます。


毎年夏休みがつぶれる

 
 1次試験はだいたい8月のお盆期間の最終日曜日くらいのため、夏休み返上で勉強することがほとんどでした。ただ会社員などの場合集中して勉強できるため、ありがたいスケジュールではあります。私もだいたい試験前5日間くらいは家やカフェなどにこもって勉強していました。熱い夏のさなかひたすら勉強できるというのも、なかなか贅沢な時間ではないでしょうか。しかしイコールこの夏休みだけで対策できるという意味ではまったくありませんよ!少なくともGW明けには勉強を開始してください。ロードマップの作成など具体的な1次試験対策は第4回のコラムで書きます。

 実は私は6度目の試験を受ける8月、盆踊りではしゃいだ結果人生初のコロナを患うことになりました。もちろん試験までにコロナはギリギリ完治しましたが、あと1週間ずれていたら受験はかないませんでした。体調を崩しやすい時期なので、コンディションを整えるのも重要ですね。

 

ゾンビ復活制度

 
 前年に合格した科目はその年免除になりますが、翌年以降は復活というゾンビのような制度があります。これがかなりの癖物で、免除はありがたいのですがこのおかげで例えば受験1年目に落とした科目は2年目で受からないと、1年目の合格科目を3年目にまた受け直すという沼直行・負のサイクルに陥ります。私が正にそうでした。いっそのこと、この復活制度をやめていただいたら諦めもつくというものです。もしくは免除期間を3年くらいにしていただきたいのですが。

 

 ただ、1回受かったものは数年以内だったら長期記憶としてけっこう覚えています。独学するうちに学習のポイントが分かってくるので年々楽にはなります。長年ゆる勉しているうちにだんだんその科目にも愛着がわいてくるものです。特に日本史はすっかり好きで、得意とさえ言えるものになっていました。これもまた沼にハマる罠ではあります。

一番大変だった科目と楽勝科目

 
 一番大変だったのは4回目で合格した日本歴史です。私のさんざんな日本歴史の結果をどうぞご覧ください。

第1回第2回第3回第4回第5回第6回
日本歴史×××免除資格免除

 なんせ中学の頃からの記憶を掘り起こす作業から始めたので細かな知識を定着させるのにだいぶ時間がかかりました。もっと効率的にやればよかったのですが、3年間はのらりくらり「流れが分かればいいだろう」と簡単な参考書をゆるゆるやっていたためでしょう。4回目でどう乗り切ったかは次回に回します。

 
 一番高得点が出しやすく合格しやすいのが通訳案内の実務です。なんせ出所は95%『観光庁研修テキスト』だからです。ほぼ1か月前に勉強開始で間に合うくらいのボリュームですが、一度私は油断して落とし穴に入ってしまいました。その時の結果がこちらです。

 第1回第2回第3回第4回第5回第6回
通訳案内の実務免除免除×あと1点満点〇

 あと1点で2次に進めるところを落としてしまったのです!!この年の悲惨さといったら…悔しくて同年「歴史能力検定2級」を受験して合格する運びになりました。そして5回目とはうってかわって6回目は満点をとりましたこのギャップよ。おそらく理由は明白で、5回目は1回目を受けた時から試験が難化していてその対策ができていなかったからです。長文の問題が多く1問の配点が高いため、時間とケアレスミスとの戦いになります。試験時間も1回目は50分だったところ、5回目は40分に減っていました。

まとめ

 
 一筋縄ではいかない1次試験ですが、免除科目を最大限活用するのがまず第一。そしてゾンビ制度のおかげで科目の合否に凹凸が出て何年も受けるハメになります。できれば合格まで引き延ばさないほうがよく、2回目で全科目が合格しているのが理想です。最後に試験は最後は体力勝負!くれぐれも私のように夏休みに遊びすぎてダウンすることがないようにお気を付けください。

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