「四川料理=全部辛い」と思っていませんか?
「辛い中華」といえば、まず思い浮かぶのが「四川料理」ではないでしょうか。
実は、その四川料理には、味わい・技法・文化背景の異なる三つの流派が存在します。
それが、成都を中心とする【上河帮】、重慶をルーツとする【下河帮】、そして塩の町・自貢の【小河帮】です。
同じ“川菜”でありながら、三つの流派は驚くほど個性が違います。
今回は、それぞれの特徴や代表的な料理を紹介しながら、「四川料理の本当の奥深さ」に迫ります。
上河帮 shàng hé bāng (蓉派 róng pài )- 成都:繊細で優雅、「百菜百味」の都

成都を中心としたエリアで親しまれている、いわゆる四川料理(川菜)。農耕文化が根付いた平原の地で「百菜百味」の哲学を追求。麻と辣の中に甘・酸・塩・旨の多彩な24種の味型があり、繊細でバランスのとれた味わいが楽しめます。見た目が美しく宴席料理や官府菜(上品な宮廷風料理)も多く存在します。
麻婆豆腐 má pó dòu fǔ

豆腐を花椒と唐辛子で麻辣に炒めた料理。麻と辣のバランスが絶妙です。
回鍋肉 huí guō ròu

茹でた豚バラ肉を甜麺醤などで再度炒めた家庭料理。コクと香ばしさが特徴。
宮保鶏丁 gōng bǎo jī dīng

鶏肉とピーナッツを甘辛酸っぱいタレで炒めた一品。程よい辛さと酸味が魅力。
樟茶鸭 zhāng chá yā

茶葉で燻した香ばしいアヒル肉料理。香り高く手間のかかる逸品です。
开水白菜 kāi shuǐ bái cài

透明な上湯に白菜を浮かべた非常に繊細なスープ料理。官府菜の代表格。
钟水饺 zhōng shuǐ jiǎo

紅油(チリオイル)とニンニクダレで味付けした名物餃子。
赖汤圓 lài tāng yuán

ゴマ餡の入った甘い団子。温かくてやさしい味わいです。
下河帮 xià hé bāng (渝派 yú pài)- 重慶:豪快で刺激的、“江湖の味”

重慶周辺の山間部で親しまれる重慶料理(渝菜)。四川料理の中でも「最も反逆的な分派」と言われています。牛脂や大量の唐辛子・花椒を使用した辛さと油のダブルパンチ!強火で短時間に炒める炭火焼きなど、豪快な調理法が特徴です。
重庆火锅 chóngqìng huǒguō(牛油火锅 niúyóu huǒguō)

牛脂と大量の唐辛子・花椒で作る激辛火鍋。重慶の象徴的な料理です。
毛血旺 máo xuè wàng

アヒルの血豆腐やモツ、野菜などを麻辣スープで煮込んだ料理。
辣子鸡 là zi jī (歌乐山辣子鸡 gē lè shān là zi jī)

鶏肉を大量の唐辛子と一緒に炒めた、インパクト抜群の一皿。
万州烤鱼 wàn zhōu kǎo yú

炭火焼きにした魚に麻辣ソースをかけた料理。香ばしさと辛さが見事に融合。
辣子肥肠 là zi féi cháng

豚モツを強火で唐辛子と炒めた刺激的でパンチのある料理。
豆花饭 dòu huā fàn

豆腐にピリ辛タレをかけ、ごはんと一緒に食べる庶民派料理。
红糖冰粉 hóng táng bīng fěn

黒糖シロップをかけたひんやりスイーツ。夏の定番です。
小河帮 xiǎo hé bāng(盐帮 yán bāng)- 自貢:発酵と塩の魔術師

自貢・内江・瀘州などを中心としたエリアで親しまれる自貢料理(盐帮菜)。塩業で栄えた地域ならではの保存技術や発酵文化が息づき、濃厚でご飯に合う味付けが特徴です。
冷吃兔 lěng chī tù

四川特有の「ウサギ肉」を使った冷製の辛口おつまみ。香辛料と油で炒めて冷やした、保存食。
自貢豆花 zì gòng dòu huā

柔らかい豆腐に、唐辛子油・醤油・ネギなどをかけた庶民派料理。
豆瓣鱼 dòu bàn yú

自貢特産の郫県(ピーシェン)豆瓣醤を使った、魚の煮込み。味は濃く、コク深い辛さと旨味がある。
四川泡菜 sìchuān pàocài

塩水と乳酸菌を使った発酵野菜。自貢の塩文化の象徴ともいえる発酵系副菜。
糍粑 cí bā

もち米をついて丸め、きな粉や砂糖、ゴマをまぶした餅。
四川料理は個性が交差するグルメ宇宙!

四川料理は、「激辛」だけでは語れない、歴史・地域・文化が溶け合った奥深い料理体系です。
成都の繊細さ、重慶の豪快さ、自貢のコク深さ——
これらをおさえれば、四川料理をもっとおいしく楽しめること間違いなし!
グルメ天国「四川」には少数民族も住んでいて、まだまだ紹介しきれない料理がたくさんあります。
あなたはどの料理を食べに行きたいですか?
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